「空き缶」使って上手くなろう 元ヤクルトの名手が小学校高学年にすすめる守備練習法

ヤクルトなど3球団で活躍した大引啓次氏【写真:伊藤賢汰】

1年目から正遊撃手、大引啓次氏が勧める2つの守備練習

少年野球でも守備は試合の流れを変える。1つのプレーが勝敗を分ける時もある。野球経験や学年によって求められる技術は異なるが、守備の“花形”と言われる遊撃手として活躍した元ヤクルトの大引啓次さんは、小学校高学年の選手に2つの練習方法をすすめている。グラウンドや広場など十分なスペースがない場所でも、上達できる練習法がある。

【動画】大引氏が実践、送球の精度を左右する打球に入る足の運び方

2019年シーズンを限りに現役引退した大引さんはオリックス、日本ハム、ヤクルトの3球団で計13年間プレー。高い守備力を誇り、オリックスでプロ1年目の2007年から遊撃のレギュラーを掴んだ。自身の経験から、小学校高学年に向けて「足を動かす」2つの練習方法を挙げる。

「止まっている状態からボールを捕りに行くよりも、動いているボールを動きながら捕る方が守備のレベルは上がります。足を動かしながら何かをするのは運動神経を高める要素の1つと考えています」。

大引さんが実践していたのは、アメリカンノックのように足を動かしながら打球を捕る練習。静止してノックを受けるよりも身体と眼が調和されて、捕球技術が上がる。打球判断の感覚やバウンドを合わせるコツが掴める効果もあり、打球を待つのではなく前進して捕球する動きが自然と身に付くという。グラブの扱いやノックに慣れてきた小学校高学年の選手が、もう一段階ステップアップする助けになる。

準備するのは空き缶だけ、狭い場所でも2人でできる練習

人数が少なくても、広いスペースがなくてもできる上達法もある。大引さんが子どもの頃、送球の精度を上げるためにやっていたのが空き缶を使った練習だ。キャッチボールのように10~15メートル離れて2人で向かい合い、中間に空き缶を置く。ボールを持っている方が空き缶を狙って投げる。

外れたら、もう1人が転がったボールを捕って空き缶目がけて送球する。エラーをしたら減点で、先に空き缶に3回当てた方が勝者となる。緩いボールで空き缶を狙って外れた場合、相手は簡単に捕球してエラーを誘えないため、的に向かって強いボールを投げる。

これも足を動かしながら捕球する練習となり、大引さんは「ボールを捕って投げるまで一連の流れで練習できます。守備練習は必ずしもノックである必要はありません」と説明する。他にも、実家が神社の大引さんは、境内にあった木を狙ってボールを投げて守備の練習をしていたという。木に当たらなければ自分でボールを捕りに行くことになるため、コントロールが身に付く。また、木の当たる場所によってボールの跳ね返り方は様々で「どこにボールが跳ね返ってくるのか予想しながら動いていました」と振り返る。

プロの世界でも守備の名手として知られた大引さんが提案する小学校高学年向けの上達法。少しの工夫がライバルに差をつける。

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