アルピーヌのラピエールが驚速のポール獲得。トヨタは4&7番手と苦戦/WEC第1戦セブリング予選レポート

 3月17日、WEC世界耐久選手権第1戦セブリング1000マイルレースの予選が、アメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで行われ、アルピーヌ・エルフ・チーム36号車アルピーヌA480・ギブソン(アンドレ・ネグラオ/ニコラ・ラピエール/マシュー・バキシビエール)がポールポジションを獲得した。

 陽が傾く現地時間19時、LMGTEプロ&アマの10分間のセッションが開始された。最終コーナへと向かうバックストレートでは、正面に沈む西陽がドライバーの視界を奪いそうだ。路面はドライ、気温28度/路温は33度というコンディションだ。

 開始3分というところで、チーム・プロジェクト1の46号車ポルシェ911 RSR-19をドライブするニコ・ルートウィラーがコースアウトしリヤからバリアにヒットし、セッションは早々に赤旗中断となる。ルートウィラーはその後自力でコースに復帰しピットへ戻るが、赤旗の原因となったことからセッション再開後の参加は認められなかった。

 この赤旗時点でタイムが計測できていたのは6台のみ。残り6分53秒からセッションが再開されると、各車は再度コースインしていく。

 LMGTEプロクラスでは、コルベット・レーシング64号車シボレー・コルベットC8.Rのニック・タンディが1分58秒317をマークし、まずはトップに立つ。残り1分でこれを上回ったのはポルシェGTチーム91号車ポルシェ911 RSR-19を駆るジャンマリア・ブルーニで、プラクティスから最速を維持してきた僚友92号車のミカエル・クリステンセンは0秒019及ばず、この時点で2番手に。

 しかし、クリステンセンは残り約30秒でラストアタックに突入していくと鬼神のアタックを見せて1分57秒233をマーク。ブルーニのタイムを0秒150上回ることに成功し、逆転でクラスポールを獲得した。プロクラス2番手は91号車ポルシェ、3番手は64号車コルベットと続いている。

LMGTEプロクラスの最速タイムをマークしたポルシェGTチームの92号車ポルシェ911 RSR-19

 アマクラスではセッション中盤にTFスポーツ33号車アストンマーティン・バンテージAMRのベン・キーティングがクラストップに浮上。その後さらにタイムを伸ばすと、プロクラスの車両にも割って入り、クラス首位となった。

 星野敏がアタックしたDステーション・レーシングの777号車アストンマーティンは、クラス5番手という好位置につけ、予選を終えた。

LMGTEアマクラス最速となったTFスポーツの33号車アストンマーティン・バンテージAMR

■アルピーヌだけが1分47秒台に突入

 19時20分、ハイパーカー&LMP2クラスのセッションはオンタイムで開始された。トヨタGAZOO Racingの7号車GR010ハイブリッドはホセ・マリア・ロペス、8号車GR010ハイブリッドはブレンドン・ハートレーがアタッカーを務める。

 このほかのハイパーカークラスは、アルピーヌ36号車ではニコラ・ラピエール、グリッケンハウス・レーシングの708号車グリッケンハウス007 LMHではオリビエ・プラがステアリングを握った。

 LMP2車両がタイムシートの上位を占めるなか、残り7分過ぎからアタックが本格化していく。ここでアルピーヌのラピエールがこの週末初めての1分48秒台へと突入、グリッケンハウスのプラがコンマ3秒差で続く。このうしろにトヨタ8号車のハートレー、さらにおくれてトヨタ7号車のロペスというオーダーだ。

 しかしラピエールは次の周にはなんと1分47秒台へと入れ、グリッケンハウスを突き放した。これでラピエールはアタックを完了し、セッション終了よりも前にピットへと戻った。

 LMP2クラスではセッション中盤にユナイテッド・オートスポーツの22号車オレカ07・ギブソンをドライブするフィリペ・アルバカーキが一時首位を奪う。その後は目まぐるしく上位勢が入れ替わり、ユナイテッド23号車オレカのポール・ディ・レスタが僚友を逆転。これにリアルチームby WRT41号車オレカのフェルディナンド・ハプスブルクが続くオーダーとなる。

 しかし残り1分でAFコルセ83号車オレカのニクラス・ニールセンが圧巻のアタックを完遂し、ハイパーカークラスのトヨタ2台をも上回る総合3位タイムをマークし、クラス首位を奪った。

 さらに、先にアタックを終えていた23号車のタイムを再び上回るアタックを見せた22号車アルバカーキが、クラス2番手につけた。。

 間も無くチェッカーというタイミングで、インターユーロポル・コンペティション34号車オレカで代役出場しているファビオ・シェラーが、ターン1出口でコースアウトしバリアにハードヒット。セッションは残り12秒を残しており、この時点で最後のアタックを敢行していた車両も多数あったとみられるが、予選はここで赤旗終了となった。

 この結果、ポールポジションはアルピーヌ36号車が獲得。グリッケンハウスが2番手に続き、総合3番手はLMP2のAFコルセ83号車となった。

 トヨタの8号車がこれに続く4番手。以下ユナイテッドの22号車、23号車と並び、トヨタ7号車は総合7番手で予選を終えた。

 最速タイムをマークしたラピエールは「クリーンなラップでトラフィックもなかったし、クルマはとても良かった。コンディションはここまでのセッションと大きく違ったが、僕らは車の調整とセットアップがうまくいった」と述べている。

 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権と併催のため変則スケジュールとなるWEC第1戦セブリング1000マイルレースは、3月18日金曜日に決勝が行われる。現地時間18日正午(日本時間19日午前1時)に1000マイル、または8時間で争われる長丁場のレースがスタートする。

予選でLMP2クラス首位となったAFコルセの83号車オレカ07・ギブソン
トヨタ8号車のアタックを担当したブレンドン・ハートレー
ポールポジション獲得を喜ぶアルピーヌ陣営。左からアンドレ・ネグラオ、ニコラ・ラピエール、マシュー・バキシビエール

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