栃木県内で最大震度5弱を観測した16日深夜の地震。鉄道各線が大幅な遅れや運休となり、各地で停電も発生した。影響は17日朝の通勤通学の時間帯にも及び、乗客からは驚きや不安の声が聞こえた。
16日午後11時36分、JR宇都宮駅に向かう下り線の車内で緊急地震速報のアラーム音が乗客のスマホから一斉に鳴りだし、間もなく停車した。車両は停車と徐行を繰り返し、約3時間遅れて17日午前3時近くに同駅に到着した。
都内で用事を済ませた帰り道だったという宇都宮市、30代自営業男性は「揺れはそれなりにあって最初は怖かった。自然災害なので仕方がない」と疲れた表情を見せた。
地震は各地で停電も引き起こした。小山市粟宮1丁目の下野新聞社小山総局周辺では、地震直後から国道4号の信号や住宅の明かりが消え、車のヘッドライトのみが辺りを照らした。
足利市内では市西部を中心に停電が発生。同市葉鹿町1丁目のコンビニは非常用電源で営業を続けた。
影響は17日朝の通勤通学の時間帯にも及んだ。東北本線の一部が運転見合わせとなったためJR東日本は黒磯駅-新白河駅間の臨時バスを運行。バスは午前中に4往復し、那須高の生徒ら約70人が利用した。
JR那須塩原駅改札口付近には地震に伴う運行情報が掲げられた。郡山市内へ新幹線通勤をしているという東京都荒川区、会社員女性(33)は「那須塩原駅までしか新幹線が動いてないので(同駅で)降りた。同僚とタクシーを乗り合わせて職場に行く」と話した。
JR宇都宮駅でも戸惑う乗客の姿があった。宇都宮市鶴田町、主婦鈴木千恵子(すずきちえこ)さん(75)は「福島県内の病院に行く予定だった。今日は諦めるしかない」とため息をついた。