全県立校に無料で生理用品 新年度から、トイレなどに設置へ 長崎県教委

 定例長崎県議会は17日、一般質問が始まり、4人が登壇した。県教委は新年度、全76の県立学校で生理用品を無料で配布・設置すると明らかにした。新年度当初予算案に約7万個分の購入費用として100万円を計上。設置場所はトイレなどを念頭に、児童生徒が受け取りやすい場所にする考えで、各校で判断する。県立学校での設置は初めて。
 山田朋子議員(改革21)の質問に答えた。
 県は昨年11月から今年2月に六つの県立高で、経済的困窮などで生理用品を十分に入手できない「生理の貧困」に関する無記名式のアンケートを実施。うち数人が「購入に困っている」と回答したという。6校で生理用品を設置し、実態を調査すると、トイレの個室に置いた学校で約150個の使用があった。これまで生理用品は保健室で貸与し、児童生徒が返却していた。
 県は生理用品を定期的に交換できない児童生徒を支援し、安心して学習できる環境整備を目指す。平田修三教育長は「教職員と児童生徒が目的を理解し、ルールを定めて利用する必要がある」と答弁した。
 生理用品の無料配布などに取り組む「『生理の貧困』対策プロジェクト・ながさき」は、昨年10月から県内17カ所のトイレで生理用品を無料で配布・設置。約5千個の使用があった。活動目的には、県内での生理の貧困の現状を明らかにし、行政などが支援する動きをつくることもあった。
 答弁を聞いた同プロジェクトメンバーの中山安彩美さん(35)らは目に涙を浮かべ、拍手して喜んだ。中山さんは、民間では支援が限られるため「教育機関で分け隔てなく支援できるのは大きな一歩」と評価。設置場所は「(トイレの個室など)自分が貧困と訴えなくても手に取れる環境を目指してほしい」と求めた。


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