児童減で閉校、1世紀半の歴史に幕 南足柄市立北足柄小で最後の卒業式

北足柄小学校の卒業式で行われた校歌斉唱=18日、南足柄市内山

 今春で1世紀半の歴史に幕を下ろす南足柄市立北足柄小学校(同市内山)で18日、最後の卒業式と修了式が行われた。市内で最も伝統ある学校の一つである同校では児童の減少が続き、本年度はわずか13人に。最後の卒業生6人は「閉校は寂しいけれど、ここで過ごした日々は忘れない」と長年地域で受け継がれる愛称「北っ子」らしさを胸に、とびきりの笑顔をのぞかせた。

 「最上級生として後輩を引っ張ってきた経験に自信が付いた」「北足柄小で作った楽しい思い出を大切にしたい」─。

 明治から大正、昭和、平成、令和まで子どもたちが集った学び舎との別れを惜しむような雨が降る中、加藤丈之校長から卒業証書を受け取った6人は声高らかにスピ-チした。

 真っすぐな瞳には、子どもたちを熱心に指導してきた先生や保護者、きょうだいのように時間を共にしてきた後輩たちの姿が映る。

 同校は1873(明治6)年5月、「関本化源舘」(現・同市立南足柄小学校)の分校として、足柄峠近くの自然豊かな内山村(当時)に開校した。

 1923年(大正12年)の関東大震災では校舎が半壊。地元住民らの手を借りて修繕を繰り返し、近隣校との合併などを経て、戦後の1947年に北足柄小学校と改称された。

 同市北部の地蔵堂、矢倉沢、内山の3地区から通う子どもたちは、地元住民らから「北っ子」と呼ばれ親しまれてきた。靴についた土でげた箱を汚さぬように、昇降口前のマットで靴を脱ぐ習慣などが印象的といい、加藤校長は「まじめで優しく、校舎や物を大事に使う意識が受け継がれてきている」と話す。

 47年には296人が通っていたが、児童は年々減少。2010年に閉校した北足柄中学校に続いて、閉校が決まり、今春からは南足柄小学校と統合される。

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