98歳の郷土史家、藤沢・辻堂を語る 頼朝の死真相も独自分析 平家物語の序文暗唱に会場拍手

辻堂の歴史をテーマに講演する大石さん=藤沢市辻堂市民センター

 湘南の拠点都市として発展する神奈川県藤沢市・辻堂の歴史をテーマにした講演会が19日、同市辻堂市民センターで開かれ、市民ら約60人が参加した。昨年8月に完成した同センター新庁舎のオープニング記念事業の一環。

 地元出身、在住の郷土史家大石静雄さん(98)が講師を務めた。小学生時代、家の近くで遊んでいた時、お年寄りから「この場所で源頼朝が相模川の橋供養の帰りに落馬し、それが原因で亡くなった」との話を聞き、辻堂の歴史に興味を持つようになったという。

 落馬した場所や頼朝の死の真相を探ろうと、さまざまな文献や資料を独自に研究。その結果、落馬の原因は怨霊や酩酊(めいてい)ではなく、脳出血など突然の体の変調ではないかとの結論に至ったと語った。

 大石さんはこのほか、辻堂の地名の由来や戦前から戦後にかけて辻堂で起きた主な出来事を紹介。最後に「祇園精舎の鐘の声」で始まる平家物語の序文をそらんじると、会場は拍手に包まれた。

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