真鶴・松本町長側、名簿不正コピー「選挙の公平害す」 初の町民説明会

選挙人名簿抄本の不正コピーについて「一生をかけて責任を取る」と述べた松本一彦町長=真鶴町民センター

 真鶴町の松本一彦町長が選挙人名簿抄本を不正にコピーし自身の町長選に使用するなどした問題で、松本町長は19日、町民説明会を開催した。問題発覚以降、町長主体の説明を待ち望んでいた町民から「何の反省も見られない」など厳しい意見も飛び交う中、町長の依頼で登壇した弁護士は「(名簿コピーは)選挙の公正を害し許されないが、感情的な対立に終始するのでなく、再発防止策を考えていく必要がある」と訴えた。

 説明会は松本町長個人の主催で、町長の後援会が取り仕切った。個人情報保護に詳しい清水勉弁護士が登壇し、名簿コピーや住民基本台帳の情報流出の法的な問題点を解説。庁舎内に忍び込んだ行為は建造物侵入や窃盗に当たるとしながらも「職務上知り得た秘密には当たらず、地方公務員法の守秘義務違反に該当しない」との見方を示した。

 また、清水弁護士は「公選法の定める選挙の公明性が害されたことは非常に大きな問題」とし、名簿のコピーを選挙はがきに悪用した松本町長を批判。一方で、町民有志が3月に松本町長を刑事告発したことに関して「公選法上の罰則は少なく、検察の捜査に解決を委ねるべき問題ではない。(再発防止など)選挙の在り方などもっと大きな問題を問うべき」とし、地方自治法100条に基づく町議会の真相解明などを求めた。

 松本町長は名簿コピーについて「町民に不安や迷惑を掛けた」と謝罪しながらも「事実と異なる報道がされ、町民が混乱させられている。(昨年12月の出直し町長選で)再選の奇跡を受けた以上、町民の思いを踏みにじらない」と独自の主張を展開した。

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