昨季は援護なく負け越したマー君も「最低10勝はいける」
昨季はオリックスが4年連続日本一のソフトバンクの牙城を崩し、25年ぶりの優勝を果たしたパ・リーグ。今季も混戦は必至だ。現役時代にヤクルト、楽天で名外野手として鳴らし、ゴールデングラブ賞7度を誇った野球評論家・飯田哲也氏が今季の順位を予想した。
【順位予想一覧】ハムは「楽しみ」だけどBクラス…飯田哲也氏が予想したパ・リーグの順位
2013年以来9年ぶりとなる楽天の優勝を敢然と予想。「（海外FA権を取得しながら日本ハムを自由契約となった）西川の加入が非常に大きい。これまで決まらなかった1番のスポットに、ピタッとはまる選手が現れました」と指摘する。
それ以上に、優勝予想の根拠となるのは先発投手陣の顔ぶれだと言う。則本、田中将、岸、瀧中、早川と実績のある投手が並び、残る1枠を2年目の高田孝、復活を期す涌井らが争う。中でも日本球界復帰2年目のマー君に注目。昨季はチームトップの防御率3.01をマークしながら、援護に恵まれず4勝9敗と負け越し。「昨季はスライダー頼みの印象で、ここぞという場面で手痛い一発を浴びました。今年はストレートの重要性を再認識して臨むと思います」と話し、「最低10勝はいける」と太鼓判を押した。
昨季は故障者続出で4位に沈んだソフトバンクを2位に推す。「グラシアルとデスパイネが実力通りの数字を残せば、優勝に近づく」と見る。柳田や成長著しい栗原、そして甲斐のレギュラーは不動。特に甲斐は、海野ら若手控えとの差は大きいだけに「東京五輪を経験して、一回り大きな存在になった。逆に万が一、拓也が故障して離脱するようなことがあれば、チームは一転大ピンチです」と注目している。
3位はオリックス。1番・福田、2番・宗、3番・吉田正、4番・杉本の並びは安定感抜群。飯田氏は「特に吉田正の打撃技術は非常に高い。3年連続首位打者の可能性も十分あります」と評し、「5番以降をどう組むかが、中嶋監督の腕の見せ所かもしれません」と見る。投手陣では山本の存在が圧倒的。飯田氏は「まさに日本のエース。今年は20勝するのではないか」と注目する。存在の大きさゆえ「山本がケガでもした場合はBクラスもある」という危険もはらむ。
ジョーカー的存在のロッテ・佐々木朗は「中6日で回れるかどうか」
ロッテは4位と予想。「このチームは野球が上手です。突っ走るわけではなく、大きな連勝も連敗もなく、地味に白星を重ね、気がつくと終盤に優勝争いをしている」と飯田氏は表現。さらに、プロ3年目で初めて開幕ローテに名を連ねる最速163キロ右腕の佐々木朗が、どこまで勝ち星を伸ばすか。「ジョーカー的な存在です。シーズンを通して中6日で回れるのか、それとも長めのインターバルが必要になるかで、チーム成績も変わってくる」と見ている。
昨季は42年ぶりの最下位に沈んだ西武は5位。ドラフト1位ルーキーの隅田が開幕ローテ入りを果たし、長年の課題である左腕不足が解消されそうだが、飯田氏は「新人には期待はしても、当てにしてはいけません」と釘を刺す。「西武はやはり、持ち味の打線が復活し、打ち勝つ野球ができるかどうかでしょう」とも。主砲の奮起に注目しており「山川が打ち出せば、打線全体に活気が戻る。本塁打王のタイトルを取り戻すくらいの復活を期待している」と言う。
最下位に予想したのは日本ハム。「誰に注目するかと言われれば、選手ではなく、新庄監督と答えるしかない」と飯田氏が苦笑する通り、BIGBOSSはやることなすこと斬新。昨季途中に主砲の中田、オフにも西川、大田、秋吉が流出し、戦力不足は明らか。それだけに、新庄采配がチームをどう活気づけるかに注目が集まる。
「勝っていけば“新庄凄い”となるが、負けが込んできた場合、“新庄ファン”はともかく、昔からファイターズを応援しているファン、解説者、メディアがどう受け止めるのか。怖い部分もある」と前置きした上で「いずれにせよ、現時点では楽しみしかない」と笑った。「上位4球団は団子」と見る飯田氏。どこが優勝するか予断を許さない上、新庄監督という桁違いの話題もある。今年のパ・リーグは例年以上に盛り上がりそうだ。
【順位予想一覧】ハムは「楽しみ」だけどBクラス…飯田哲也氏が予想したパ・リーグの順位
【順位予想一覧】ハムは「楽しみ」だけどBクラス…飯田哲也氏が予想したパ・リーグの順位 signature
（宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki）
