全国高校選抜 柔道女子個人63キロ級 山里(長崎明誠)が日本一

【柔道女子個人63キロ級決勝】山里(長崎明誠)が抑え込みで技ありを奪う=東京・日本武道館

 全国高校選抜大会は20日、各地で6競技が行われ、柔道の女子個人63キロ級で山里椿華(長崎明誠)が決勝までの6試合すべて一本勝ちで日本一に輝いた。長崎県勢の同大会の優勝は、昨夏の東京五輪金メダリストで2010年大会の男子81キロ級を制した永瀬貴規(旭化成、当時長崎日大)以来、12年ぶり。女子としては初めて。
 柔道勢はこのほか、女子個人48キロ級の畑山凜(長崎明誠)が5位に入った。相撲個人80キロ級の山口力丸(長崎鶴洋)も5位入賞。卓球男子団体の鎮西学院は決勝トーナメントに進めなかった。
 21日は各地で7競技を実施。県勢は柔道、なぎなた、体操の3競技に出場する。

□新星誕生 オール一本勝ち 長崎県勢 五輪金の永瀬以来 

 底知れない可能性を秘めた新星が現れた。柔道女子個人63キロ級で、1年生の山里(長崎明誠)がオール一本勝ちの完全優勝。得意の寝技に持ち込み、全国の強豪を次々に打ち破った。春の日本武道館に鮮烈な印象を残した16歳は「とにかくうれしい」と、まだ快挙の実感が沸かない様子で涙を拭った。
 腕力を生かした柔道で勝ち上がった。圧巻だったのは準決勝。全日本柔道連盟(全柔連)の強化選手に選ばれている大場(福岡・敬愛)を強引に背負い投げ、そのまま抑え込んで勝負を決めた。試合時間をまだ半分以上残しての快勝。決勝も残り1分から、畳み掛けるように相手を抑え込んだ。
 熊本県天草生まれ。中学時代は全国大会の1回戦で敗れるような選手だった。一方、掛け持ちしていた陸上では砲丸投げで全国9位に。高校でどちらを選ぶか迷っていたが、実家を訪ねてきた小森監督に「そのパワーは魅力。絶対に日本一にするから」と言われ、柔道に懸ける決意をした。
 その後は監督の言葉通りに大きく飛躍。昨年6月の県高総体こそ2回戦敗退に終わったが、恩師が「とにかくこつこつ努力できる」と評する練習熱心さで、一気に全国の頂点まで駆け上がった。
 きょう21日は団体戦に臨む。ニューヒロインは「勝ちムードを呼び込めるような柔道をしたい」。勢いに乗って、次は県勢初の団体Vを取りにいく。


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