優勝は阪神、巨人は4位…今季は「ベンチワークが試される」 元虎捕手がセ順位を予想

阪神・矢野燿大監督(左)と巨人・原辰徳監督【写真:荒川祐史】

野球評論家・野口寿浩氏のセ・リーグ予想「信頼して出せるリリーフが多ければ有利になる」

プロ野球のペナントレースが25日に開幕する。セ・リーグではDeNA、阪神がオープン戦で上々の仕上がりを見せる一方、リーグ連覇を狙うヤクルト、2年ぶりのリーグV奪回を目指す巨人が最下位と低迷した。現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で捕手として21年間活躍した野口寿浩氏が現時点でのセ6球団の順位と注目選手を語った。

【予想順位一覧】巨人はBクラス…野口寿浩氏が予想したセ・リーグの順位

「今年のセ・リーグ予想は難しい。混戦になりそうです」と話す野口氏が、優勝と予想したのは阪神だ。青柳晃洋、西勇輝、伊藤将司、秋山拓巳、ジョー・ガンケルらで組まれる先発ローテは強力。その先発陣で注目されるのが藤浪晋太郎だ。昨季は21登板(6先発)で3勝だったが、2年連続で開幕投手を務める。「いい投球ができる状態になっている。2桁勝利できるポテンシャルは間違いなくある。計算したくてもできない投手だったが、いい投球ができれば嬉しい誤算になる」と期待する。

打線では大卒2年目・佐藤輝明が4番に入ることが予想される。「1年間コンスタントに打てれば」と期待する一方、バックアップ選手に水を向けた。「カバーする人材のレベルが上がってきた。元々、実力のある選手たち。ベンチとしては頼もしい」と戦力アップを評価している。

楽しみなのが最下位から巻き返しを狙うDeNAだ。野口氏が注目したのは石井琢朗野手総合コーチの復帰だ。「進塁打に粘っての四球。石井琢朗イズムが浸透しているように見えます。これは大いにプラス」。投手陣の整備は課題だったが、先発陣では開幕投手・東克樹をはじめ、大貫晋一、浜口遥大、ロメロらがおり、エース・今永昇太の復活も期待される。「先発投手は揃いつつある。守護神問題が解決すれば」。最下位からのリーグVも期待できそうだ。

野球評論家・野口寿浩氏【写真:荒川祐史】

「なぜか2年続けていい成績が残らない」 ヤクルトはジンクス心配?

リーグV2を目指すヤクルトはどうか。野口氏は上位進出のキーポイントについて、「投手陣に何かあった時にカバーする選手が出てこられるかどうか」と読む。「奥川恭伸に高橋奎二も成長した。打線はいいチーム。ただ、中継ぎでフル回転した清水昇が欠けると一気に苦しくなる」。そしてチームのリーグ連覇は1992、1993年が最後。リーグ制覇した2015年の翌2016年は最下位。2位だった2018年の翌2019年も最下位に沈んだ。「なぜか2年続けていい成績が残らない。オープン戦も結果が出ていない」と不安を口にした。

意外だったのが巨人の4位予想だろうか。野口氏はオープン戦で先発投手に少し不安を覚えたようだ。「山崎伊織、堀田賢慎、赤星優志、大勢と楽しみな投手が出てきている。ただ、若手は期待はできても当てにできない」。実績のある菅野智之や山口俊の奮起が不可欠と見ている。打線については「坂本勇人、岡本和真は例年通りの活躍。中田翔も最低20発は打つと思います」と予想。1、2番打者がキーポイントと読んでいる。

中日は「先発投手はピカイチ。大野雄大、柳裕也の2枚看板は大きい」と見るが、「一にも二にも打線が鍵」と見ている。石川昂弥、ドラフト2位の鵜飼航丞(駒大)ら若手はまだまだ未知数。「ここを乗り切れば強いドラゴンズが帰ってくる可能性が高くなる」とAクラス入りのポイントを語った。

広島は「鈴木誠也の穴は大きすぎると思います」と指摘。昨季首位打者に輝いた絶対的な打者だっただけに、最下位予想もやむを得ないところか。昨季、1年目から絶対的な守護神として君臨した栗林良吏の蓄積疲労も心配する。

新型コロナウイルス感染対策で2020年は延長10回、昨年は日本シリーズ以外は9回打ち切りだったが、今季は延長戦を12回まで実施される。「いかに勝ちを拾いにいけるか。信頼して出せるリリーフが多ければ有利になるかなと思います。ベンチワークが試されることになるのではないでしょうか」と野口氏。セ・リーグの勢力図も大きく変わりそうだ。

【予想順位一覧】巨人はBクラス…野口寿浩氏が予想したセ・リーグの順位

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(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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