<南風>仕事と介護の両立

 親の介護をするために仕事を辞めることを介護離職という。全国で年間10万人の介護離職者がいる。介護は突然やってくるから、家族や会社も慌ててしまう。

 だから、準備が必要だ。しかし、準備している企業は少ない。そして介護はプライベートなことだから会社に相談するという認識が薄い。家族で抱え込んでしまう。介護は日々、いろんなことが起こるので対応に困ってしまう。

 施設入所を検討してもすぐには入所できないのが現状だ。入所できたとしても病院受診が必要になると家族が対応しなければならず、仕事中に呼ばれる場合もある。それが頻繁に起こると会社に迷惑を掛けてしまうからと介護離職へとつながる。

 介護をする年齢はだいたいが40歳代から50歳代だからキャリアを積んだリーダー的存在の社員だ。また、男性より女性が退職を選択することが多い。社会で女性が活躍する場を失うことになる。

 会社でキャリアを積んだ人材が退職するデメリットは大きい。仕事と介護の両立はこれからの働き方として整備していく必要性が高いと感じる。仕事をしながら安心して介護ができる社会づくりを早急に行うべきだ。

 私は企業の経営者へアンケートを実施した。予想はしていたが、ほとんどの経営者が情報を持っていない。社員が介護をしながら働けるように協力はしたいが何をしたら良いのか分からないという。

 最近は産業ケアマネという専門職も誕生している。企業の中で介護をしながら働く環境づくりをサポートする人だ。ぜひ多くの人に知っていただき、活用してほしい。

 子育てをしながら働くことと同じように仕事と介護が両立できる職場環境を創ってほしいと強く願っている。

(友寄利津子、NPO法人ライフサポートてだこ代表)

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