〈じょうえつレポート〉官学3図書館連携協定締結 相乗効果で利用促進 上越市と上教大・県立看護大

蔵書総数は約88万冊 それぞれの特長生かし利便性向上も

 上越市内にある市立図書館と二つの大学図書館が15日、3者連携協定を締結した。3者は上越市立図書館と上越教育大附属図書館、県立看護大図書館。多くの市民を対象とした公立図書館と、それぞれの専門分野の学生・教職員が研究で活用している図書館が連携することで、所蔵図書資料を有効に活用し、利用促進や利便性向上を図る。(報道部・梅田邦彦記者)

 両大の図書館は平成14年から連携協定を結んでいる。今回の3者連携は市立図書館が提案し、1年間の意見交換を経て実現した。連携は令和4年度から同6年度までの3年間だが、申し出がなければ自動的に更新されることとなっている。

 連携により、図書資料の相互貸し出しの促進が図られる。これまでも利用している図書館に希望の資料や図書などがない場合、他館に問い合わせて郵送してもらっていた。連携後は市立図書館の高田、直江津両図書館と浦川原、頸城両分館、公民館図書室を巡回し、図書を配送するバスのルートに両大の図書館が加わることで、円滑な取り寄せが期待される。

 他にも一定数の図書資料を他館に貸し出したり、それぞれの案内資料の設置やホームページの相互リンクなどで他館の情報を発信したりして、それぞれの利用促進を図る。また、他館との交流による職員の資質向上も目的の一つという。大学の図書館にはあまりない一般書やベストセラーを読みたいという大学生の希望もかなう。

 連携締結の背景には図書館の予算減少があるという。蔵書は市立図書館が約45万7000冊、上越教育大が約36万冊、看護大が約6万2000冊。一般向けに幅広いラインアップの公立図書館、教育、看護・介護の専門分野が充実した大学図書館とそれぞれに特長がある。購入できる図書が限られる中で、合計約88万冊の図書資料を有効に活用したいという思いがある。

 上越教育大附属図書館館長の志村喬教授は「教育の大学として地域の教育、文化、地域創生の中核として、地域に貢献することを目的にしている。この協定はそれらの実現につながる大きな力になる」、県立看護大図書館館長の境原三津夫教授は「小規模な図書館なので協定は教育研究や学生の環境にとって有意義な一歩となる。協定をきっかけに図書館の存在感が高まっていけば」。上越市の早川義裕教育長は「市としての公共サービスと職員の資質向上にも期待している。市民への図書館を使った生涯教育、社会教育の啓発が大きく進むのでは」と、それぞれの立場から連携への期待を話す。

連携協定を締結した(左から)県立看護大図書館の境原館長、上越教育大附属図書館の志村館長、上越市の早川教育長

© 株式会社上越タイムス社