DeNA牧秀悟が目指す4番像「鈴木誠也さんは本当に凄い」 LINEで学ぶ理想の打撃

DeNA・牧秀悟【写真:中戸川知世】

広島との開幕戦で4番に入る「チームを勝たせる一本を」

開幕4番に指名されたDeNAの牧秀悟内野手が、「4番打者論」を語り尽くした。三浦大輔監督がオープン戦期間中の3月9日に「4番は牧でいきます」と明言。25日の広島との開幕戦(横浜)で打線の中心に座るプロ2年目は憧れの4番像を告白。2年目のジンクス打破を誓った。

とてもプロ2年目には思えない。牧の口ぶりにはチームを背負う風格が漂う。入団2年目の4番は1960年桑田武以来62年ぶりの大役となる。

「三浦監督から『ドンと構えてほしい』と言われています。責任はすごくありますけど、自分の打撃は変えずに。打線の軸となるので、チームを勝たせる一本を打てるようにやっていきたいと思います」

中大3年時に侍ジャパン大学日本代表の4番を任され、昨季も4番先発した15試合で打率.517、1本塁打、6打点と堂々の成績を残した。だが、自身が目指す4番像は「ラミレスさんや清原さん」のようなホームランバッターではない。

「しっかり打点をつけられるように。チームが勝つための一打がすごく大事になってくる。やっぱり本塁打を打って勢いをつけるのも4番の仕事です。でも、それ以上にチームが勝てるための一打にこだわっていきたいです」

歴史的な新人王の争いを演じ、新人特別賞を受賞したルーキーイヤー。無我夢中で駆け抜ける中で4番打者として目指す選手に出会った。広島の主砲で今春カブスへ移籍した鈴木誠也外野手だ。

「プロに入って、鈴木誠也さんは本当にすごい4番だと思いました。チームを勢い付けることもできるし、本塁打も打点もたくさん稼げる打者だったので。そこは目指していきたいなと思います」

昨季の広島戦では打撃練習の時間を見計らって野球談義。「ボールの待ち方とか体の使い方とか……参考にさせてもらっていることが多いです。本当に色々と聞かせてもらいました」。オフには共通の知人を通じてLINEの連絡先をゲットした。

石井琢朗1軍野手総合コーチ、鈴木尚典打撃コーチが就任「4番でもチーム打撃に徹したい」

「LINEで連絡させてもらっています。『もっともっと体を使ったら強い打球が打てる』と言われて、下半身からの動きだったり、上半身を使いすぎないようにしたり。打撃のことで色々と教えていただきました」

鈴木は昨季、打率.317で自身2度目の首位打者を獲得。38本塁打、88打点と打撃3部門でリーグ最高クラスの成績を残した。これが牧の目指す4番像だ。

「去年の成績を見ても素晴らしい成績。打率は高いし打点も多い。目指せるところは目指していきたいと思います」

今季から石井琢朗1軍野手総合コーチ、鈴木尚典打撃コーチが復帰。進塁打も重要視され、無安打で得点を挙げるケースもあった。1998年の日本一を知るコーチ陣からの教えも打撃スタイルに取り入れる。

「チャンスでは4番の仕事が大事になってくるので、思い切っていきます。ただ、追い込まれたり、特に終盤でサインが出た時は4番でもチーム打撃に徹していきたい」

今春は新型コロナウイルス感染の影響でキャンプ2軍スタートとなったが、「焦らずにやってこられた」。オープン戦ではアーチこそ出なかったが、打率.395、9打点の好成績を残した。2年目のジンクスは関係ないのか。

「正直シーズンではどうなるか本当にわからない。そういう不安はありますけど、去年やってきたことをもう1度見直して。いい準備ができているので、意識せずにやっていきたいです。どんな攻め方をされようと自分を変えずに打っていきたいなと思います」

チームは最下位から巻き返しをかけたシーズンとなる。三浦監督から「牧は牧らしく、4番を張ってくれればいい」と絶大な信頼を受ける23歳が「横浜反撃」の主役となる。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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