青森・むつ市で60年以上続く老舗!青森県の魚を使った鮨が堪能できる『東寿し』

*「ニッポンごはん旅」は、新型コロナウイルス終息後の旅行先として検討いただきたいという想いで各地の情報を発信しています。

雄大な自然を楽しめる土地、下北半島。

青森県の人でも行ったことが無い方が多いかもしれません。

しかし、実際には美味しい食材と秘湯が点在する穴場スポットです。

飲食店の数は多くはありませんが、今回紹介する『東寿し』は敢えて伺う価値のある一軒です。

魚、鮨が好きな人ならば、是非ともご検討ください!

むつ市『東寿し』とは?

むつ市の『東寿し』は60年以上の歴史を誇る老舗です。

地元の宴会や接待、結納などのニーズに応え、「寿司割烹」としての地位を確立してきました。

現在は東京で修業した柿本泰平(たいへい)親方が女将さん(お母様)と一緒に切り盛りされています。

柿本親方は修業後、むつ市に戻って早10年が経つそうです。

『東寿し』伝統の「蒸しかまどで炊くシャリ」を駆使し、鄙(ひな)にも稀な完成度の高いシャリを切っています。

伝統があるお店で、いかに良い魚を仕入れていても、全てを台無しにしてしまうのがシャリです。

具体的に言うと、冷たい、粘度が高い、柔らかい、甘いの要素があると、現代人の好みからは外れてしまいます。

その点、柿本親方のシャリは都会のお店と比べても遜色がありません。

ミツカンの米酢に、東京で知った赤酢をごく少量加えつつ、誰もが美味しいと感じる方向性で仕上げています。

保温には余念が無く、寒さが残る冬であっても、バッチリ人肌のシャリを頂けます。

そして、魚は青森県のものをメインで使用されています。

地物30%、青森県他エリア30%、宮崎県津本さんの魚30%くらいのバランスで仕入れているとのこと。

宮崎県の津本さんは「津本式」と言う魚の手当てを考案した魚屋YouTuberで、魚の臭みを排除する画期的な方法で魚の処理をしています。

頂いた感想としては、地元の人も、青森の人も、県外の人も全ての人が楽しめるお店だと感じました。

県外の人は、訪問する際に必ず「青森県産の魚を中心に味わいたい」ということを、お店の方に伝えることをオススメします!

なお、お店の外観は非常に重厚なので、緊張するかもしれません…

しかも、お店に入るとつけ場の奥に巨大なステンドグラスが掲げられていて、大迫力です。

しかし、心配無用です。

店内はテレビが付いているような庶民的な空気感なので(笑)

接客も気さくなので、観光客でもリラックスして楽しめるはずです。

ステンドグラスについては、女将さんが作られたものとのことでビックリしました。

『東寿し』の個性的な鮨・つまみ・お酒をご紹介!

それでは、『東寿し』で頂いたものを、幾つかご紹介します。

まずは、頂いたお酒です。

・関乃井酒造(青森県むつ市)、北勇、純米

・関乃井酒造(青森県むつ市)、祈水、特別純米

・八戸酒造(青森県八戸市)、陸奥八仙、赤ラベル特別純米

下北と八戸のお酒のみ頂きましたが、県外のお酒のラインナップは東京の人気店に匹敵します。

『東寿し』のつまみ

「鮫鰈(サメガレイ)の刺身」

旅行先で伺うお店で、1品目から意外なものだと、テンションが上がりますよね。

かつては卑下されていた魚ですが、近年は見直され、神経〆を使える漁師の手によると、味が劇的に上がります。

身には「カレイ」とは思えないほど脂がたっぷりです!

身でかなりインパクトがありましたが、エンガワの方は更にパンチがありました。

使用している塩はJTの精製塩やアジシオではなく、沖縄産の海塩。

「ホタテ」

青森と言えば、忘れてはならないホタテ。

噛み応えがある肉厚なボディで、甘みがたっぷりです。

添えられているホタテの子も濃密な味わいで、臭みは全く無く、美味しい珍味です。

「アンコウ(鮟鱇)の出汁しゃぶしゃぶ」

訪問した冬は、アンコウ(鮟鱇)が旬。

そこで、アンコウ料理を幾つか仕立てて頂きました。

これは魅力的で、旨い!

鮮度が高く、旨味が乗った旬のアンコウを、上品に頂きます。

たっぷりの薬味と自家製のポン酢が爽やかな香り。

薬味は生姜、葱、大葉、水菜が使用されています。

アンコウは、むつ市の北にある「風間浦」の漁師である木下さんの手によるもの。

神経〆を施した上質なアンコウだからこそ楽しめる、上品な食べ方です。

「アンコウ(鮟鱇)の唐揚げ」

繊細さにうっとりしたところで、イメージを完全に変えます。

揚げることで力強い味に変化!

身はむっちりしていて弾力があり、ゼラチン質がねっちりと絡みます。

しゃぶしゃぶで頂いたのと同じ魚とは思えず、驚きのコントラストです。

「鮟肝」

アンコウシリーズの最後を飾るのは、鮟肝。

とろっとろで柔らかく、口当たりが滑らかです。

味付けも上品で、鮟肝そのものの味を満喫できます。

産地だけあり、親方の技術が堂に入っているなあと感じました。

では、握りをご紹介します。

『東寿し』の握り

「メジナ」

高級魚ではありませんが、むちっむちで旨い。

シャリの美味しさを感じさせてくれました。

ただ、つまみも同様ですが、混ぜ山葵ではなく本山葵を使用して頂いた方が魚介の味わいが引き立つと思います。

コロナの影響でお客さんが少ないので、ワガママは言えませんが…

混ぜ山葵が苦手な方は抜いて頂いた方が良いかもしれません。

「鮪赤身」

旨味がある赤身で、酸味はスッキリしています。

香りも良いです。

予想外に美味しい鮪でした。

「予想外」であった理由は、下北半島には有名な鮪の産地である大間がありますが、大半が豊洲に流れる上に、シーズンもずれるためです。

伺ったところ、豊洲に流れないものを確保しているそうです。

これは信頼を持てますね!

「鮪トロ」

身は柔らかく、脂がしっかり乗っています。

ただ、ギトギトしておらず、香ばしいところが魅力です。

「石鯛」

濃密な脂で、石鯛固有の香りも楽しめます。

「アワビ」

煮アワビではなく、生の状態のため、コリッコリです。

アワビの香りもたっぷりあり、一連の流れの中で爽やかです。

「ホタテの巻物」

意外性のある巻物です。

非常に甘く、刺身で頂くのとは異なる楽しさがあります。

「筋子の巻物」

青森らしい巻物です。

濃密な味わいと香りで、最後にふさわしいと感じました。

ひと味違う下北半島の恵みを食べてみたい方、是非とも訪問してみてください。

最後に、八戸・下北半島を中心に、魅力的な青森県の魚をご紹介します。

八戸港には、数多くの魚介類が揚がります。

そして、ヒラメやカレイ、ウニは都会の高級店(つまり豊洲市場)でも高評価を受けています。

カレイ類の魚種は豊富で、以下の通りです。

・マコガレイ

・ムシガレイ

・ババガレイ(ナメタガレイ)

・ヒレグロ(オイランガレイ)

・ヌマガレイ(カワガレイ)

・サメガレイ

・アカガレイ

・マツカワ

マコガレイは夏の江戸前鮨で花形の白身魚、マツカワは希少性の高い高級魚です。

ムシガレイやヒレグロ(オイランガレイ)は干物で流通することが多いカレイです。

そして、忘れてはならないのが、スルメイカ、サバ、サケ、サクラマスです。

脂が乗った「八戸前沖サバ」は誰もが美味しいと思う味ですが、サクラマスの上品な旨味と香りも印象に残る味。

「八戸前沖サバ」の旬は秋で、サクラマスの旬は冬から春。

ともに旬は異なりますが、八戸の季節を楽しませてくれる魚です。

他にも、今回『東寿し』さんで頂いたアンコウに始まり、マゾイ、キチジ(地元名はキンキン)、メヌケ、アイナメ、アブラボウズ、カナガシラなど、魅力的な地魚が獲れるのが青森県です。

また、青森市には全国に神経〆を広めた「塩谷魚店」の塩谷孝さんがいらっしゃいます。

魚の〆方で味が劇的に変わるというのは、体験したことが無い人には信じられないかもしれません。

しかし、筆者は以前取材させて頂いた際、2つの〆方で確かな違いを感じて、感動を覚えました。

通販もされているので、体験されたい方は試してみてください!

http://www.shioyagyoten.com/index.html

もちろん『東寿し』さんを予約する際に伝えておけば、体験することが出来るでしょう。

■こちらでもオススメのお店などを紹介しています!

ブログ:https://sushi-blog.com/

Twitter:https://twitter.com/sushilog01

東寿し

〒035-0033 青森県むつ市横迎町1丁目2−40

*この記事は2022年3月時点の情報を基に作成しています。

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ライター:すしログ(大谷悠也)

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