イセ食品ほか1社 申立から2週間の短期間で東京地裁より会社更生開始決定を受ける

※イセ食品の看板(TSR撮影)

  3月11日、債権者から会社更生法を申し立てられていたイセ食品(株)(TSR企業コード:311024971、法人番号:8030001061642、千代田区有楽町2-10-1、設立1971(昭和46)年6月5日、資本金2000万円、田中保成社長)と関連のイセ(株)(TSR企業コード:590002805、法人番号:7230001011207、富山県高岡市福岡町福岡新181、設立1962(昭和37)年8月20日、資本金4200万円、同社長)は3月25日、東京地裁より会社更生開始決定を受けた。管財人には高井章光弁護士(高井総合法律事務所、港区西新橋1-15-5、管財人室:電話03-6758-6936)が選任された。
 負債は、イセ食品が約278億円、イセが約171億円で、2社合計約449億円。

 イセ食品は国内大手の鶏卵販売業者として、鶏卵・液卵の卸売事業を手掛けていた。生産子会社・関係会社を複数抱え、採卵鶏を約1300万羽飼育し、種鶏や親鶏の育成から、採卵、パッキング、配送に至るまでの全工程をグループで一貫して行っていた。栄養強化卵への取り組みに注力し、1990年に現在のブランドたまごの定番となっている「森のたまご」を開発してロングセラーブランドに成長させたほか、2019年に日本初の機能性表示食品卵の「機能性表示食品伊勢の卵」を発売。大手スーパーや飲食チェーンなどを中心に販路を構築していた。
 総数500社超の取引先を抱え、国内の鶏卵流通のリーディングカンパニーの1社として知られ、ピークの2018年1月期は売上高約470億6000万円をあげていた。

 しかし、従来から金融債務の負担が重かったうえ、飼料価格の高騰や「新型コロナウイルス」感染拡大に伴う外食産業の不振などで業績が悪化。2020年1月期は売上高約468億円に対して約14億円の赤字を計上し、資金繰りも悪化していた。
 このため、取引金融機関との間でバンクミーティングを実施し、私的整理を目指していたが調整が難航。こうしたなか、金融機関などから会社更生法を申し立てられた。

 イセは、飼料の仕入販売を手掛けていたが、イセ食品に連鎖した。
 管財人によると「資金繰りの面では、あおぞら銀行ほかによる金融支援も実現している。事業再生に向けた営業活動にも一段の弾みがつくものと考えている」としている。

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