【MLB】「打てようが、打てなかろうがいい」 鈴木誠也がメジャーデビュー戦で求めるもの

カブス・鈴木誠也【写真:盆子原浩二】

25日のロッキーズ戦に出場予定、相手先発は昨季12勝右腕

カブスの鈴木誠也外野手は24日(日本時間25日)、翌日に控えた実戦デビューを前に室内の打撃練習などで汗を流す軽めの調整を行った。待望のオープン戦初陣は本拠地スローン・パークでのロッキーズ戦。相手の先発は、昨季12勝を挙げ2年連続で開幕投手を務めている右腕ヘルマン・マルケス。

18日(同19日)の合流から連日繰り返してきた実戦形式の打撃練習で本来の感覚の蘇生に努めてきた鈴木にとって、昨季に球宴出場を果たし、ここ数年で上り調子のマルケスとの対決は勝負勘を取り戻していくにはこの上ない機会になる。デビッド・ロス監督がオープン戦初出場の詳細を発表した23日(同24日)、鈴木は練習後に言った。

「打てようが打てなかろうが、それも自分の中ではいいと思っている。そしたら自分の課題も出てきますし、またそこを練習で潰せばいいので。一つ一つをしっかり楽しみながらやりたいなと思っています」

日本時代からデータにはあまりこだわらないと言う鈴木は、豊富な資料がそろう新天地でもその意識を変えることはない。

「打席に立った感覚と本能みたいなもの、そこは大事にしていきたなと思っているんです。あんまり考え過ぎてもおかしくなりそうなんで。気になるところは見て、余計なところは見ないでいいのかなと思っています」

それでも、現時点で明らかになっているのが「ピッチャーとの間合いの感覚」と表現するタイミングという課題だ。

「スピードにはだいぶ目が慣れてきているが、どうしてもまだ力みがあったり、いろんなところが余分な無駄な動作が入ってきているので。そこだけはしっかりと調整してやっていきたいなと思います」

「本当にいい状態で体もコンディションもいい感じできている」

これがよく分かるのが、22日(同23日)のライブBPだった。昨季ブレーブスで11勝を挙げた技巧派左腕のドリュー・スマイリーに、チェンジアップで空振り三振を喫しているが、その打席では、速球を交ぜた5球のうち3球のチャンジアップにタイミングが合っていなかった。見送り、ファウル、そして空振り。いずれも体勢を崩されていた。

ボールカウント、走者の有無など、いくつもの違う状況の中で狙い球、振るべき球も変わってくる。そのすべての対応が、鈴木が求める「課題」であろう。

「こんなに早く試合に出られると思っていなかったので。いろんな人にサポートをしてもらって、いい環境でやらせてもらっているんで。本当にいい状態で体もコンディションもいい感じできているので。楽しみです」

こう発してから2日後に迎える、初実戦。

敵を相手にアドレナリンが分泌され、熱狂的なカブスファンの視線を受ける本拠地でのデビュー戦で、鈴木誠也の一コマ一コマを注視したい。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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