オリ山本に白旗「打てない、正直言って」 西武・辻監督が“完敗”に見出す好材料

西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】

山本は「カウント3-0からでも簡単に変化球でストライクを取れる」

■オリックス 6ー0 西武(25日・ベルーナドーム)

昨季42年ぶりの最下位に沈んだ西武は25日、本拠地ベルーナドームで行われたオリックスとの今季開幕戦に0-6で零封負けを喫した。日本を代表する右腕である相手先発の山本由伸投手に衝撃的な投球を見せつけられ、苦渋の船出。辻発彦監督も脱帽するしかなかった。

「いやぁ、あのー、開幕戦でいきなりこの時期にこれだけの球を投げられたら、打てないっすよ、正直言って」

辻監督は試合後、驚くように言った。ただでさえ、春先は投手の方が打者より調整が早いと言われている。「彼の長所はカウント3-0からでも簡単に変化球でストライクを取れる所。こちらは的を絞りづらかった」と相手を称えた。

なにしろ山本は昨年5月28日から無傷の15連勝中。この日も2回は4番・山川、5番・中村、6番・外崎が3者連続三振に倒れた。決め球は全て120キロ台のカーブ。「155、6キロの真っすぐがある所にあのカーブが来れば、30キロの緩急があるのだからキツイ。追い込まれたらファウルにするとか、なんとか粘っていかなければいけないんだけど……」と辻監督。4回まではヒットも打てず、結局8回3安打9奪三振に封じられ、ホームベースは遠かった。

西武先発・高橋、敗れはしたが7回5安打2失点「丁寧に変化球でかわした」

一方、自軍の先発の高橋光成投手も、5回までは山本に対して一歩も引かず無失点。しかし、6回に宗、吉田正に連続タイムリーを許し、7回5安打2失点に抑えながら敗れた。辻監督は「真っすぐにいまひとつスピードが出ていなかったが、丁寧に変化球でかわした。そこは成長だと思う」と評価した。

23歳の期待株で「1番・中堅」でスタメン出場し、4打数無安打に終わった鈴木将平外野手についても、指揮官は「打撃の内容は良かった。明日からまた前向きにやってくれればいい」とうなずく。「2番・左翼」で起用した新外国人ブライアン・オグレディ外野手の4打数2安打の好スタートには、「実戦向きかな」と目を細めた。

完敗スタートにも、辻監督に悲壮感はない。3年ぶりに入場制限を解除した本拠地のスタンドには、2万2646人の観客が足を運び、「モニターで子ども達が楽しんでいる姿見て、いいなと思った」と相好を崩した。

ただ、29日からの開幕2カード目には、「開幕一発目から3連戦は遊びます。真剣勝負は札幌から」と宣言しているBIGBOSSこと新庄監督の日本ハムとの対戦が控えている。それだけに、本拠地での3連戦で確固たる手応えを得て、北の大地に乗り込みたいところだろう。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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