【高校野球】延長タイブレークは犠打か強攻策、どっちが正解? “明暗”分かれた3試合の決断

第94回選抜高校野球大会は、大会7日目を終え史上最多となる3試合で延長タイブレークに突入した

無死一、二塁から始まるタイブレーク「犠打で簡単にアウトを貰える方が気持ち的にも楽」

第94回選抜高校野球大会の大会7日目・2回戦第2試合は金光大阪が延長13回、4-3で木更津総合(千葉)を破り初のベスト8進出を果たした。史上最多となる大会3度目のタイブレークとなったが、無死一、二塁から始まる攻撃で各チームが取った先頭打者への作戦で明暗が分かれる形となった。

手堅く犠打で送り1死二、三塁を作るのか。それとも強攻策で大量得点を狙うのか。先攻、後攻、リードを許した状況などで作戦は変わってくるが、3試合とも先頭打者が強攻策を選んだチームが勝利している。

今大会初のタイブレークは20日の近江(滋賀)-長崎日大。先攻の近江は4番・山田が初球を叩き左前適時打、その後は相手失策も絡み、一挙4点を奪って6-2で勝利した。4得点は相手の“戦意”を喪失させるには十分ともいえる点数だった。

先攻チームは勝ち越しても…1イニング抑える“重圧”との戦いが待っている

2度目は21日の木更津総合-山梨学院戦。先攻の山梨学院は犠打を失敗し、1死一、二塁から二ゴロ併殺で無得点。その裏に木更津総合は先頭打者が左飛に倒れたがタッチアップで1死一、三塁となり申告敬遠で満塁。最後は押し出し四球で2-1でサヨナラ勝ちした。

そして、この日は先攻の木更津総合が犠打で1死二、三塁とし3番・菊池の中前2点適時打で勝ち越した。だが、その裏に金光大阪は6番の先頭・岡治が空振り三振に倒れたが、併殺崩れと3四死球が絡み同点。最後は2死満塁から押し出し死球でサヨナラ勝ちとなった。

先攻のチームはたとえ勝ち越しても、勝利が目の前にある状況で投手はあと1イニングを抑える“プレッシャー”との戦いが待っている。山梨学院の吉田監督は「選手に厳しい場面の采配がちょっと多くなった」と語り、木更津総合の五島監督もイニング途中から登板し押し出し四球を与えた金綱について「いつもはコントロールが悪い投手ではない」と、独特の緊張感でマウンドに上がる投手の難しさを口にしている。

タイブレークは最低でも「2点は覚悟」。先攻のチームが勝ち越すと、後攻のチームは1点では勝てないため、強攻策でいくのがセオリーともいえる。タイブレークを経験した、ある監督は「犠打で簡単にアウトを貰える方が気持ち的にも楽になる。延長戦でも1点勝負ではないので、どれだけ点を取れるかが大事」とも話す。

甲子園では2018年の選抜大会から導入されたタイブレーク。結果論と言えばそれまでだろうが、今後も各チームの指揮官が“決断”する作戦面に注目するのも、楽しみの一つになるかもしれない。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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