公道スプリントはアクシデント多発。日本勢ふたりが今季初ダブル入賞【FIA F2第2戦ジェッダ レース1】

 3月26日、2022年FIA F2の第2戦ジェッダの決勝レース1が、サウジアラビアのジェッダ・ストリート・サーキットで開催され、リアム・ローソン(カーリン)が今季初優勝。日本勢の岩佐歩夢(ダムス)は6位で今季2度目のポイント獲得。佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)は8位で今季初入賞となった。

 第2戦スプリントレース(決勝レース1)のグリッドは、25日に行われた予選トップ10のリバースグリッドで決定された。予選で10番手タイムを記録したジェイク・ヒューズ(ファン・アメルスフォールト・レーシング)がポールシッターとなったと思われたが、予選終了後、5人のドライバーにペナルティが与えられた。

 まず、予選で3番手タイムを記録したジャック・ドゥーハン(ビルトゥジ・レーシング)は、パルクフェルメで提出を定められた0.8kgの燃料を提出できずに失格。決勝レース1、レース2ともに最後尾からのスタートとなった。

 アムーリ・コルデール(ファン・アメルスフォールト・レーシング)は赤旗掲示中、ダブルイエローが振られるなか十分な減速を行わなかったとして決勝レース1で10グリッド降格。他のドライバーの妨害をしたとしてクレモン・ノバラック(MPモータースポーツ)が5グリッド降格。

 また、フレデリック・ベスティ(ARTグランプリ)、オリ・コルドウェル(カンポス・レーシング)が、そしてユーリ・ビップス(ハイテックGP)が妨害行為で3グリッド降格となった。

 この5名に対するペナルティにより、予選で11番手タイムを記録していたデニス・ハウガー(プレマ・レーシング)が繰り上がりの10番手となり、上位10台のリバースグリッドで決するレース1のポールポジションを獲得した。ポール獲得が幻となったヒューズは2番手から、カラン・ウィリアムズ(トライデント)が繰り上がりの3番手から、そして岩佐は変わらず4番手からのスタートに。そして日本勢の佐藤はふたつ繰り上がり、12番グリッドスタートとなった。

 なお、フリー走行でクラッシュを喫し、予選出走も叶わなかったジェム・ボリュクバシ(チャロウズ・レーシング・システム)は脳震盪と診断され、決勝レース1出走をとり止めている。

 気温24.6度、路面温度35.5度という高めのコンディションのなか、20周の決勝レース1はスタートを迎えた。

 ポールスタートのハウガー、3番手スタートのウィリアムズが好スタートを決めるなか、2番グリッドのヒューズが大きく出遅れ、その隙をついた岩佐が3番手に浮上。

2022 FIA F2第2戦ジェッダ 岩佐歩夢(ダムス)

 しかし、2周目にソフトタイヤで賭けにでたヒューズはポジションを取り戻すべくプッシュし、ターン27で岩佐をオーバーテイク。これで岩佐は4番手にポジションを戻すことに。

 その直後の2周目のターン9でアムーリ・コルデール(ファン・アメルスフォールト・レーシング)がクラッシュ。これでセーフティカーが導入される。

 セーフティカーは4周にわたり導入され、7周目にレースは再開。1コーナーでローソンが岩佐をパスし、4番手に浮上。そのリスタートの際、後方でドゥーハンがローガン・サージェント(カーリン)に追突し、2台はホームストレート上でマシンを止めることに。これでリスタート早々に2度目のセーフティカーが導入される。

 セーフティカー導入中、一旦はレースディレクターより「ホームストレートを通過するように」と指示が飛んだが、その直後にピットレーンのクローズドがアナウンスされる。そんななか、トップのハウガーのみがピットレーンを通過。12番手で隊列に復帰したが、これがピットレーンクローズド中のピットスルーとして、ハウガーに10秒のストップ&ゴー・ペナルティを課せられることに。

 周囲をウォールに囲まれたホームストレートでのクラッシュということで、撤去作業に時間を要したが、14周目にウイリアムズを先頭にレース再開。

 ヒューズがターン2でウイリアムズをかわしトップに浮上、さらに続けてローソンがウイリアムズを攻略し2番手に。これで岩佐もウイリアムズを攻略すべく攻めるが、背後からビップス、マーカス・アームストロングのハイテック勢が接近。

 岩佐は15周目の1コーナーでビップスにかわされ、5番手に後退。その後もペースが上がらず、フェリペ・ドルゴヴィッチ(MPモータースポーツ)、そしてアームストロングに追われる展開に。

2022 FIA F2第2戦ジェッダ 岩佐歩夢(ダムス)

 DRS使用可能となった17周目、岩佐はドルゴヴィッチにかわされ6番手に後退する。一方、16周目のターン27でビップスがウイリアムズをかわし、3番手に浮上している。

 18周目、ターン1でペースが急激に落ちたヒューズをローソンがかわし、トップに浮上。同じく岩佐もペースが落ち、アームストロング、リチャード・フェルシュフォー(トライデント)にかわされ、8番手に後退してしまう。

 その直後、アームストロングが単独スピンを喫し、コース上にマシンをとめてしまう。これで18周目にバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入される。

 ファイナルラップの20周目にVSCは解除されると、ローソンが2秒以上のギャップを守り今季初優勝、FIA F2通算2勝目を飾った。2位争いはサイド・バイ・サイドのままチェッカーを受け、2位にビップス、続いてヒューズとなった。ところが、チェッカー後、ヒューズのスキッドブロックの厚みが1.4mm規定に足りず、失格に。変わってドルゴヴィッチが3位となった。

 岩佐はラルフ・ボシュング(カンポス・レーシング)の猛追からポジションを守り切り7位でチェッカーを受けたが、ヒューズの失格で繰り上がりの6位に。一方、佐藤は10位でチェッカーを受けたが、ヒューズの失格、そしてボシュングに20秒のタイム加算ペナルティが課せられたことでふたつ繰り上がり8位に。今季初入賞を果たした。

 続く、フィーチャーレース(決勝レース2)は日本時間3月27日の22時35分からスタートを迎える。

2022 FIA F2第2戦ジェッダの決勝レース1を制したリアム・ローソン(カーリン)
左:ユーリ・ビップス(ハイテックGP)、中:リアム・ローソン(カーリン)、右:ジェイク・ヒューズ(ファン・アメルスフォールト・レーシング)
2022 FIA F2第2戦ジェッダ 佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)

■FIA F2第2戦ジェッダ スプリントレース(決勝レース1) リザルト

Pos. No. Driver Team Time/Gap

1 5 L.ローソン カーリン 20Laps

2 8 J.ビップス ハイテックGP 3.166

3 11 F.ドルゴヴィッチ MPモータースポーツ 4.846

4 21 C.ウィリアムズ トライデント 6.277

5 20 R.フェルシュフォー トライデント 12.121

6 17 岩佐歩夢 ダムス 13.520

7 2 J.ダルバラ プレマ・レーシング 15.237

8 4 佐藤万璃音 ビルトゥジ・レーシング 16.040

9 16 R.ニッサニー ダムス 17.390

10 22 E.フィッティパルディ チャロウズ・レーシング・システム 17.441

11 12 C.ノバラック MPモータースポーツ 18.739

12 9 F.ベスティ ARTグランプリ 20.298

13 10 T.プルシェール ARTグランプリ 20.569

14 14 O.コルドウェル カンポス・レーシング 25.495

15 15 R.ボシュング カンポス・レーシング 14.454

16 1 D.ハウガー プレマ・レーシング 51.495

– 7 M.アームストロング ハイテックGP DNF

– 6 L.サージェント カーリン DNF

– 3 J.ドゥーハン ビルトゥジ・レーシング DNF

– 25 A.コルデール ファン・アメルスフォールト・レーシング DNS

– 24 J.ヒューズ ファン・アメルスフォールト・レーシング DSQ

© 株式会社三栄