援護弾目撃して突如の大ジャンプ 西武ドラ1の“少年みたいな行動”が与える好影響

山川の本塁打に笑顔を浮かべる西武・隅田知一郎【画像:パーソル パ・リーグTV】

7回1安打無失点の快投 新人王最有力候補の評判に間違いなし

■西武 5ー0 オリックス(26日・ベルーナドーム)

【実際の映像】ほぼファン目線で目撃した山川の援護弾…西武ドラ1隅田が大ジャンプして無邪気に喜んだシーン

西武のドラフト1位ルーキー隅田知一郎(すみだ・ちひろ)投手が26日、本拠地ベルーナドームで行われたオリックス戦で、今季の新人一番乗りとなるプロ初勝利を挙げた。7回1安打無失点の快投を演じ、新人王最有力候補の評判に間違いないことを証明。しかもこの左腕は、キャラクターもユニーク。先制3ランで援護した主砲の山川穂高内野手が「可愛い」、辻発彦監督が「純粋」と評するその素顔とは──。

野球少年そのままだ。初回1死一、三塁の好機に山川が左中間へ豪快な先制1号3ラン。打球が外野席に吸い込まれた瞬間、三塁側ベンチ前でキャッチボールをしていた隅田は、大きくジャンプして喜びを露わにした。

3点の援護がよほどうれしかったのかと思いきや、「2年連続本塁打王(2018、19年)を獲っていらっしゃる方のホームランを初めて生で見て、鳥肌が立ちましたし、興奮しました。援護もうれしかったですが、すごいな、という感動が第一に来ました」と明かした。ほとんどファン感覚ではないか……。ベンチ前で山川の“どすこいパフォーマンス”を目の当たりにし、「自分もプロ野球選手になったんだなと実感しました」と話した。

山川は「ホームランを打った瞬間の映像を見て、あんなに喜んでいるのかと、可愛く思いました」と笑った。お立ち台で隅田の投球の印象を聞かれた際、開口一番「可愛かったです」と答えたのには、そんな背景があった。

その隅田は、6回2死走者なしから、2年連続首位打者の吉田正にこの日2つめの四球を与えたが、続く昨季本塁打王・杉本をカウント3-2から低めのチェンジアップで空振り三振に仕留めた。そして思わず、雄叫びを上げながら左手でグラブを叩き、2度、3度と跳ねた。身長177センチ、体重76キロの体がウサギのようにぴょんぴょんと跳ねる姿が実に印象的だった。山川は「やはりあれだけ気持ちを表に出して投げると、味方の士気が上がりますね。投手にもいろいろなタイプがいますが、隅田がああいうスタイルで行くなら、すごくいいと思う」と評した。

辻監督「この子は純粋に野球が好きなんだなと感じています」

辻監督は「クレバーでいろいろ考えながら野球をやっている。投球でも、間を取ったり、わざとタイミングを外したりして、そういう所が並の新人ではない」と感嘆する一方、「試合前、ブルペンで投球練習を終えた後、普通投手はベンチの後方に座るものなのだけれど、彼は最前列に陣取った。オープン戦でも、ベンチで大きな声を出して味方を応援していた。この子は純粋に野球が好きなんだなと感じています」と目を細める。

もちろん、闘争心も備えている。入団時に「対戦してみたい打者」に名前を挙げていた吉田正とは、3打席対戦して2四球。「やはり力が入りました。四球を2つ出してしまいましたが、いずれはストレートで三振を取れるくらい、いい勝負をしたいです」と悔しそう。ただ、報道陣から初回の第1打席で、初球の150キロ速球で押し込み遊ゴロに仕留めたことを指摘されると、「一瞬しまったと思った球でしたが、意外に差し込めていました。まだ1度対戦しただけなので油断は禁物。これからデータも入っていくと思いますし、1年間かけての勝負だと思っています」と一流打者に対しても臆する所はない。

ウイニングボールについては「今月16日に亡くなった、ひいおじいちゃん(曾祖父)のために仏壇へ飾りたい。プロへ行っても頑張りなさい、と言ってくれていましたし、病室に僕の写真を飾ってくれていたので」と明かした。新人離れした技術と度胸を見せながらも、周囲をホッコリさせてくれる好漢だ。

【実際の映像】ほぼファン目線で目撃した山川の援護弾…西武ドラ1隅田が大ジャンプして無邪気に喜んだシーン

ほぼファン目線で目撃した山川の援護弾…西武ドラ1隅田が大ジャンプして無邪気に喜んだシーン(0:50~)【動画:パーソル パリーグTV】 signature

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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