広島戦力外からNPB復帰で4年ぶり勝利 鷹・藤井皓哉が清宮被弾から生かした反省

4年ぶりの白星を挙げたソフトバンク・藤井皓哉(左)【写真:福谷佑介】

逆転され、なおも1死満塁のピンチでマウンドに上がった藤井は見事な火消し

■ソフトバンク 6ー4 日本ハム(27日・PayPayドーム)

ソフトバンクは27日、本拠地PayPayドームで日本ハムに6-4で競り勝った。この試合で勝利投手になったのは育成選手から開幕前に支配下昇格を果たしたばかりの藤井皓哉投手。2020年で広島を戦力外になり、独立リーグを経てNPB返り咲きを果たした苦労人が4年ぶりの白星をあげた。

出番は絶体絶命のピンチでやってきた5回だ。先発の杉山が万波に同点2ランを浴び、渡邉に四球を与えたところで2番手の椎野へスイッチ。だが、1ストライクを取ってから12球連続ボールで3連続四球を与え、押し出しで逆転を許した。なおも1死満塁のピンチで送り込まれたのが藤井だった。

前日に移籍後初登板し、清宮にソロを浴びていた藤井。「昨日不甲斐ないピッチングをしたので、場面は考えずに、昨日も助けられたので助けられた分やってやろう、助けたいという気持ちがあった。なんとかやってやる、と思っていました」。覚悟を胸に秘めてマウンドに上がった。

先頭のヌニエスを見逃し三振に仕留めて2死とすると、続く佐藤は三ゴロ。三塁手のガルビスの好守もあって絶体絶命のピンチを脱した。すると、その直後に味方が逆転。回を跨いで6回もマウンドに上がると、3者凡退に封じて、流れを呼び込んでみせた。

「僕は真っ直ぐがあってのフォーク、スライダー」

そのままチームは逃げ切り、藤井には白星が転がり込んできた。移籍後初となるお立ち台にも上がった。2020年オフに広島を戦力外になり、昨季は四国ILの高知でプレー。そこでの活躍が評価されて、育成選手として今季からソフトバンクに加入した。キャンプ、オープン戦でも結果を残し、開幕直前に支配下登録。そして開幕3戦目で移籍後初勝利まで手にした。

「想像を超えるペースで物事が進んでいっています。開幕前は気持ちがまだ追いついてないところがあった。昨日、マウンド立って打たれましたけど、ここでやっていくんだとより感じられました」。目まぐるしく進んでいく日々、変わっていく環境に戸惑いながらも、なんとか整理をつけながらプレーする。

清宮に被弾した前日の試合も糧として生かした。「清宮くんに対してもですが、変化球、変化球になってしまった。僕は真っ直ぐがあってのフォーク、スライダーだと思う。真っ直ぐで押していけばよかったと反省があったので、それを生かせた」。ストレートで押していってこその変化球。ほろ苦い移籍後初登板で己の投球スタイルを思い出した。

左手にはめた赤いグローブ。「高校の監督、現役選手、関係者、OBの人に寄付してもらったグローブで、苦しい時に応援してくださる方が本当に大事だと思う。あのグローブを使おうと思っています」。ソフトバンクで新たに始まったNPBでの日々。この1勝はゴールではなく、藤井にとってまた新たなスタートになる。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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