神奈川県立「芹が谷やまゆり園」の運営 横浜の社会福祉法人も新たに名乗り

芹が谷やまゆり園(資料写真)

 2016年7月に殺傷事件があった神奈川県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)の入所者の一部が暮らす県立芹が谷やまゆり園(横浜市港南区)の運営に、現在の運営者である社会福祉法人「かながわ共同会」(秦野市)のほかに、施設を出て地域の住宅で暮らす「地域生活移行」に力を入れる横浜市内の社会福祉法人も新たに名乗りを上げたことが分かった。

 県は23年度からの5年間に芹が谷園や津久井園を運営する指定管理者を選定する手続きを進めている。有識者らで構成する評価委員会による審査を受けて県が候補を選定し、県議会での議決を経て今夏までに指定法人が決まる。共同会が津久井園の指定管理者として05年度に運営を始めて以降、津久井園と関連施設の指定管理者選定に向けて別の法人が申請するのは初めて。やまゆり園事件を機に知的障害者入所施設の在り方を巡る議論が続く中で新たな局面を迎えた。

 県に共同申請したのは、同愛会(横浜市保土ケ谷区)と白根学園(同市旭区)。両施設ともこれまで津久井園入所者計4人を地域生活移行を見据えて受け入れ、グループホームで暮らす人もいる。地域生活移行を進める入所施設の新たな運営方法を示すとして、共同で施設運営する計画書を提出した。

 一方、共同会は、県立知的障害者施設4施設(津久井園、芹が谷園、愛名やまゆり園、厚木精華園)の指定管理者。事件後、県は有識者組織での議論を踏まえて津久井園を小規模分散化する方針を決定。津久井園は昨年7月に再建され、新施設の芹が谷園は同11月に開所した。両園ともに地域生活移行を進める「通過型施設」として再出発した。芹が谷園とともに指定管理者を公募中の津久井園への指定申請は共同会だけだった。

 両園の運営を巡り、共同会の指定期間は当初は24年度末までだったが、津久井園で不適切な支援があったなどとして22年度末までに短縮され、公募することになった。

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