秦野・大倉高原に環境配慮型トイレ新設 微生物の力で排せつ物を分解・処理

大倉尾根上にある大倉高原に設置された、環境配慮型のトイレ(秦野市提供)

 秦野市は16日から、神奈川県立秦野戸川公園から塔ノ岳へ続く大倉尾根上の大倉高原(標高約600メートル)に、環境配慮型トイレを導入した。新型コロナウイルス禍で密が避けられるレジャーとして登山人気が高まる中、市の担当者は「登山口から一時間で登れる好条件を生かし、周辺のテントサイトと合わせて魅力向上に努めていきたい」と期待している。

 同高原は、同公園から徒歩で約1時間。周辺には市所有の山小屋「大倉高原山の家」や和式トイレがあったが、老朽化のため2017年に閉鎖された。解体作業が始まる前の昨年夏には、市民有志が小屋近くの清掃や草むしりを行った。

 今回設置したトイレは洋式で、便槽内のバクテリアが排せつ物を分解・処理する仕組み。くみ取り作業は5~10年に1回。水や電気が不要なほか、悪臭を抑制できる設計という。整備費は約4040万円で、県の補助金を活用した。

 同高原は表丹沢の登山道にある唯一のテントサイトで、市は今後、テーブルやベンチなどを整備する方針だ。市観光振興課は「小一時間で登れ、テント泊すれば市街地の夜景や星も楽しめる。大倉高原を目的地とする登山客が増える取り組みを続けていきたい」と話している。

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