古里の歴史、思い出 劇や歌に 対馬・佐須中、南小 閉校式で児童生徒披露

(写真上から)元寇を題材にした劇「一所懸命」を演じる生徒=対馬市、佐須中 南小児童の歌声を収めた動画の一場面

 長崎県対馬市立佐須中(厳原町)と同市立南小(豊玉町)が今月末、創立35年と同51年の校史に幕を閉じる。閉校を前に両校の児童生徒は、地域の歴史や母校の思い出を劇や歌という形で残そうと、それぞれの閉校式で披露した。
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 佐須中の全校生徒18人は13日の閉校式で、元寇(げんこう)を題材にした劇「一所懸命」を事前収録映像と組み合わせて上演した。
 校区内には1274年の「文永の役」で蒙古軍が上陸したとされる小茂田浜がある。地元劇団の脚本をアレンジし、生徒は昨年4月から授業や夏休みに映像収録や稽古を重ねた。古里や家族を懸命に守ろうとする先人や、それに思いをはせる現代の中学生を熱演。合戦シーンは「つしま蒙古太鼓」で勇壮に再現した。
 主役を演じた3年生の齋藤みずきさん(15)は「佐須の伝統と歴史を残したかった。全校生徒が一つになり、最後の在校生として意味のあることができた」と晴れ晴れとした表情。脚本アレンジや演技指導を担当した武富京子教諭(56)は「大人になった時にこの劇と古里のことを思い出してほしい」と望んだ。
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 南小の全校児童9人はオリジナル楽曲「南小が好きなんだ」を約半年かけて制作。5日の閉校式で披露した。
 「自然」「坂道」「運動場」…。学校をテーマに思い思いの単語を出し合い、「地域や家族への感謝」など3部構成の歌詞に仕上げた。作曲した古藤進一教諭(48)は、素朴で飾らない子どもたちを思いながら、懐かしく切ないメロディーを付けたといい、「子どもたちの思い出と未来への希望が歌詞に詰まっている」。歌声と学校行事の思い出の写真などを収めた記念動画をユーチューブで公開している。


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