コロナ支援効果に陰り。コロナ関連倒産加速。倒産抑制に底打ち感

 2018年後半からの景気後退局面で倒産件数は増加傾向で推移してきたが、20年からの新型コロナ感染症の流行に伴う対策の一環として資金繰り等の各種支援策が実施され、倒産は減少傾向で推移、昨年21年は件数および負債総額ともに歴史的低水準を記録した。しかし、その中でコロナ関連倒産は増加傾向で推移し、特に21年度からは過剰債務状態におちいる企業も増加し、負債が膨らむ前に事業継続を断念する「あきらめ型倒産」の増加が目立っている。さらに年度末を向かえコロナ支援策の効果も薄れだし、またウクライナ情勢も追い打ちをかける形でコロナ関連以外も含めた倒産件数全体が増加に反転する兆しも見られる。

 3月8日に帝国データバンクが「2月の全国企業倒産集計」を公表している。これによれば、21年度の倒産件数は5000件台と歴史的低水準となる見込みだ。しかし、ウクライナ情勢に関連し原油高などのコストアップなど今後の悪影響を注視する必要がある。2月の倒産状況は428件発生、前年同月比で3.2%の減少となっているものの、減少率は前月から縮小するなど底打ちの兆しがみられるようだ。レポートは「コロナ融資などによる倒産抑制効果に陰り」が見られると指摘している。ちなみに、負債総額は780億6600万円と前年同月比で0.4%と僅かながら4カ月ぶりの増加となった。

 業種別にみると、7業種中4業種で前年同月を下回っており、建設業では69 件発生、前年同月比4.2%の減少で、昨年7月以降増加傾向であったが3カ月ぶりに減少となった。また、宿泊業を含むサービス業でも前年同期比2.7%の減少と、9カ月連続で減少している。しかし小売業が1.2%増、全国的にまん延防止等重点措置の適用となった飲食店が9カ月ぶりに増加に転じ、同じく減少傾向が続いていた飲食料品小売業でも増加となっている。

 原因別にみると、「不況型倒産」が339件で、前年同月325件から4.3%の増加と9カ月ぶりに前年同月を上回り、全体の79.2%を占め、前年同月より5.7ポイント増加した。この他、「人手不足倒産」は13件、同160.0%増、「後継者難倒産」は42件、同55.6%の増加だ。注目すべきは「コロナ融資後倒産」が20件発生し、前年同月比100.0%増加と8カ月連続の前年同月比の増加となっており、過剰債務の中で「息切れ倒産」が増えている様子をうかがわせる。ウクライナ情勢による悪影響もあり追加的な倒産抑制策が急務と言える。(編集担当:久保田雄城)

帝国データバンク、2月の全国企業倒産集計を発表。2021年度倒産、歴史的低水準となる5000件台の見込み

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