単なる思い出作りではないプホルス復帰 強打と豊富な経験に期待

アルバート・プホルスのカージナルス復帰にノスタルジアを感じる人は多いだろう。もちろん、現役最後の1年を古巣・カージナルスでプレーすることにその要素があることは否めない。とはいえ、カージナルスは単なる思い出作りのためにプホルスを獲得したわけではない。昨季ドジャース移籍後に健在であることを示した強打、そしてメジャー21年のキャリアを誇る豊富な経験がチームにとって有益であると判断したからこそ獲得に動いたのだ。プホルスより年下のオリバー・マーモル監督はDHや代打要員として期待しているようだ。

開幕まで2週間を切ったタイミングで入団が決まったプホルスだが、マーモル監督は日本時間4月8日に本拠地ブッシュ・スタジアムで迎えるパイレーツとの開幕戦にプホルスが「問題なく間に合うと思う」との見解を示した。当初は複数の若手選手をDHで併用し、出場機会を与える方針だったカージナルス。ところが、ロックアウトが終了してからコリー・ディッカーソンとプホルスを獲得し、その方針は完全に変更された。マーモル監督は「DHをやったことがない選手がDHで活躍するのはタフな仕事だ。ベテランの存在感やDHの経験値という点においてプホルスの加入は必ず役に立つ」と語っている。

プホルスは昨季、エンゼルスでの24試合で打率.198、5本塁打、OPS.622と低迷し、5月に解雇された。しかし、ドジャース移籍後は85試合で打率.254、12本塁打、OPS.759と成績がアップ。マーモル監督が「彼にはまだ何かが残されている」と話したように、全盛期ほどではないものの、依然として強打は健在だ。左腕に対して打率.294、13本塁打、OPS.939、代打でも打率.359、2本塁打、OPS.908の好成績を残しており、今季の主な役割を考えれば、これらの数字はカージナルスにとって非常に心強い。

マーモル監督はメジャー最年少の35歳だが、今季はプホルス、アダム・ウェインライト、ヤディアー・モリーナと自分より年上のレジェンド3人が自軍でプレーすることになる。モリーナが今年7月に40歳の誕生日を迎えるため、カージナルスには40代の選手が3人在籍することになるが、これはカージナルスではオジー・スミス、デニス・エカーズリー、リック・ハニカットの3人が在籍していた1996年以来のことだ。

マーモル監督は「プホルスのような選手が加わることは、彼自身のスキルだけでなく、彼がクラブハウスにもたらしてくれるものという点でも極めて重要だ。彼のことは本当に尊敬している。いい友人であり、いいリーダーであり、物事を正しく行う人だ。彼がクラブハウスにもたらすものは他の追随を許さない」とプホルスの豊富な経験に大きな期待を寄せる。昨季のドジャースでもそうであったように、プホルスがチームにもたらすものは見た目の成績よりもはるかに大きいのである。

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