【ウクライナ侵攻】ロシア核使用懸念に「言語道断」 葉山で91歳被爆者講演 原爆投下後「地獄のような惨状」  

原爆が投下された当時の広島市街地の地図や新聞記事などを使いながら講演する松本さん=葉山町堀内の町立図書館

 14歳の時に広島で被爆した横浜市原爆被災者の会事務局長の松本正さん(91)=同市神奈川区=が29日、神奈川県葉山町の平和講演会で被爆体験を語った。参加した約30人は松本さんの生々しい証言に聞き入り、平和の尊さを実感していた。

 松本さんは故郷の広島市で被爆し、家族10人を失った。広島への原爆投下前は米軍の爆撃機が襲来しても爆弾を落とさなかった理由について「新型爆弾実験のため爆撃機への警戒をなくす狙いで、原爆が投下された時も市民は外で眺めていた」と米軍の冷酷さを指摘。投下後は「地獄のような惨状とはこのことで、まちは裸同然で血だらけの人や死者ばかりだった」と語った。

 ウクライナに侵攻したロシアが核兵器を使用するのではないかという懸念が強まっている。松本さんは「言語道断で、はらわたが煮えくりかえっている」と怒りをあらわにし、「核兵器は絶対悪の兵器。核戦争に勝者はない。絶対使わせてはならない」と訴えた。

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