長崎県教委は29日、県文化財保護審議会の答申を受け、「樋口橋」(佐世保市)、「紙本著色(しほんちゃくしょく) 永覚元賢像(えいかくげんけんぞう)」(長崎市)、「壱岐安国寺の中世文書」(壱岐市)を新たに県文化財として指定した。県指定文化財は394件、うち有形文化財の建造物は33件、美術工芸品は124件になった。
佐々川中流域に架かる佐世保市吉井町の樋口橋は、1922(大正11)年に架設。長さ36メートル、幅6.3メートルの石造二連アーチで、高いデザイン性や重厚な美しさを有している。「本県における石造アーチ橋の架設技術の発展と地方道路が近代化する過程を示す土木構造物として重要」と評価された。
「紙本著色 永覚元賢像」は、中国の曹洞寺院である湧泉寺の住職、永覚元賢の肖像画で長崎市寺町の晧台寺(こうたいじ)が所有している。1677(延宝5)年、中国の曹洞僧から晧台寺住職に贈られたとされる。「わが国における明清文化の受容の多様性を示す資料として学術的価値が高い」としている。
「壱岐安国寺の中世文書」は、室町時代から戦国時代までの文書11点。足利義満が僧・顕悦を安国寺住職に任命した際の文書(公帖(こうじょう))や、15世紀中期の松浦党諸氏が分治していた当時の壱岐の状況を伝えるものなど、「中世文書の乏しい壱岐の歴史を知る貴重な資料」として指定された。
一方、安国寺所有の絵画などによる県指定文化財「安国寺什物(じゅうもつ)」(10点)について、構成する古文書3点が「壱岐安国寺の中世文書」として指定されたため、名称と構成点数を変更。「壱岐安国寺の仏画及び仏具」(7点)となった。