映画『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』、本編映像&新場面写真公開! 現代のジェンダー問題にも通じるリンダの言葉、輝かしい成功の裏に隠された知られざる思いとは

これまでもブライアン・ウィルソンやボブ・ディラン、クイーンなど人気・実力ともに兼ね備えたミュージシャンたちを捉えた良質なドキュメンタリー映画を数多く手掛けてきたジェットリンクが新たに提供する音楽ドキュメンタリー、『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』が4月22日(金)より、『スージーQ』、『ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック』が5月6日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺ほかにて3作連続公開される。

『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』は、2013年にパーキンソン病と診断され歌手活動を引退した、アメリカ西海岸を代表する稀代のシンガー、リンダ・ロンシュタットの半生を描くドキュメンタリー。 グラミー賞を10度受賞、ロック、ポップス、カントリー、ジャズからオペラに至るまであらゆるジャンルの曲を歌いこなし、79年には日本武道館を含む複数都市でのツアーも成功させるなど日本でも人気を誇ったリンダの輝かしい栄光と知られざるその後に迫る。

このたび公開された本編映像は1970年代、人気絶頂期のリンダが音楽業界における男女差について思いを吐露するインタビュー映像。「ロックンロールの文化は男性優位なの 女への敵意に満ちているわ」と今以上にジェンダーの格差が大きかった当時の状況を嘆き、男性ミュージシャンに対して「ロックンロールのスターは孤独に陥りやすくて そのせいで疎外感と不安を募らせる あげく麻薬に逃げて自分を壊してしまう」と現代にも通じる持論を展開。リンダはスタッフやバックバンドのメンバーなど、常に男性に囲まれた環境で違和感や劣等感を抱いていたことが本作で明かされている。

▲同時期に活躍した女性シンガーのドリー・パートン(左)とエミルー・ハリス(中央)

▲リンダのバックバンドを務めていたイーグルスのボーカル、グレン・フライ(左)

そのような状況の中でも、圧倒的な歌唱力と音楽に対するストイックな姿勢で着実にキャリアを重ね、当時の音楽業界において女性シンガーの地位向上に貢献した。同時期に活躍していたボニー・レイットやエミルー・ハリス、カーラ・ボノフらとは公私ともに姉妹のような仲で、女性シンガーがまだ多くなかった当時、互いに曲を提供・共有するなど良い関係を築いていたという。 しかしリンダ自身は男女を差別することなく、バックバンドを務めていたイーグルスのバンドとしての独立を後押ししたり、男女問わず多くのミュージシャンとコラボやデュエットをしたりと、周囲の仲間へ良い影響やチャンスを与える存在でもあった。彼女が多くの人々に愛される理由は、音楽はもちろんのことながら、強い芯を持ちつつも周囲の人々に平等に接するその人柄にもあったことが窺える。 約50年前の映像ながら現代のジェンダー社会にも通じる不当な格差を指摘し、それに屈することなく自身の努力と人柄で大きな成功を収めたリンダの姿に、当時のファンはもちろん、現在の若い世代や多くの女性もエンパワメントされるだろう。

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