Vol.06 Matrice 30登場!日本最速インプレッションをあなたへ[空☆ひろし巡り会い]

噂のMatrice 30シリーズの実力はいかに?

いつもドローンに関する情報をいち早く自ら体現し、伝えてくれる、空☆ひろしこと二木ひろしに今回は話を聞くことになった。なぜならば、いち早く、Matrice 30を飛行させたというではないか!早速、システムファイブの二木氏と久米氏に話を聞いてみた。

検証は、雪山の国定公園内の鳥獣害調査に実際に実機を投入し調査しながら検証したという。一昨日発表されたばかりのMatrice 30の真価はいかに?なお今回検証に用いたMatrice 30は、出荷製品版前のものであることもお伝えしておく。

DJI産業機の新しい時代が始まる。性能の向上と安全性と信頼性の強化がポイント

今回3月21日に発表されたDJI Matrice 30は、機体だけではなく、DJI産業機分野のエコサイクルが発表されたことも大きい。すでにDJIの産業機ラインナップとしては、Matrice 300 RTK(以下:M300 RTK)とMavic2 Enterprise Advanceが存在する。それ補完する様に登場したのがMatrice 30だろうか?

――Matrice 30は、DJI産業機の中でどのような位置付けなのでしょうか?

システムファイブでドローン責任担当者の二木ひろし氏(空☆ひろし)

二木氏: 現行機種でフラッグシップ機であるM300 RTKとMavic 2 Enterprise Advancedのちょうど中間にポジションになる機種ではないかと思います。赤外線モデルとズームのモデルで2種類用意されています。

価格もサイズもコンパクトかと思います。特に準備から飛行までの展開の速さと機体自身の俊敏性だけとM300 RTKの機能を継承していることは、大きなポイントですね。Matrice 30シリーズは、-20℃〜50℃の広い温度範囲でも稼働し、大雨や強風、高高度、雪や氷のある低温環境など、過酷な条件下でも、優れた性能を発揮します。今回もMatrice 30の実力を見るために敢えて雪山での実証実験を行いました。

――Matrice 30の機体の完成度など感想はどうでしたか?

M300 RTKからMatrice 30と型番数値も低いですから機体も小型ということは想定されます。機体の大きさは、折りたたむと予想以上に小さいです。イメージするとInspireぐらいの大きさだと思ってください。

本体に加えてバッテリーステーションの小型化は、嬉しいところです。当然機体ケースとステーションを併せてもM300 RTK本体よりコンパクトになっているので、持ち込む場所へのハードルが下がったといえますね。

――いち早くMatrice 30を実際に飛行させましたが、どうでしたか?

二木氏: 飛行させた感じは、ほぼM300 RTKと同じでした。飛行時間も40分と長く、障害物センサーというのもM300 RTKと同じで安心感はありました。飛行時の安定感もあります。

逆にストップするときの動きで送信機をニュートラルに戻すときの止まり方は、軽量小型になった分滑らかです。Matrice 30は、M300 RTKの機体バランスに比べ、プロペラとバッテリー中心値も一緒なのでスムーズに止まります。

やはり産業用ですので、DJI Enterpriseとしてデータに関しては、最高レベルの安全性と機密性を目指すと明言しているとおり、Matrice 30は、M300 RTKのV3ファームウェアで設計されたものと同じ最高クラスのデータセキュリティプロトコルを提供されています。 ただ、やっぱり比べたときにあくまでも用途に応じで、ペイロード変更ができる部分を考えると万能性は、M300 RTKに軍配は上がります。そこはさすがフラッグシップ機ということになります。ですので、用途を絞って考えると選択肢としてMatrice 30は優秀であるといえますね。

システムファイブでドローン担当者の久米裕太氏

久米氏: 同じく機体性能としてはそこまで大きい差はないと感じました。ただし送信機には大きな変化がありました。これまでスクリーンタッチでカメラの切り替えが、物理ボタンに変更されました。

さらにタッチパネルが静電式から静電+感圧式になり、極寒地で手袋してもある程度の操作が可能になりました。現場のフィードバックが生かされた送信機に仕上がっています。 サイズもM300 RTKの送信機と比べても大きくなっています。

飛行するための送信機が変わった部分は大きいですね。DJI産業用ドローンに対応アプリのDJI Pilot 2になります。M300 RTKと同じく、送信機に入る形になります。

――カメラ部分の向上はどうでしたか?

M30モデルのカメラとレーザー距離計に加え、放射分析サーマルカメラを搭載したM30Tモデル

二木氏: 通常のカメラ撮影については、光学16倍ズームにてH20Tと変わらない望遠撮影が実現しました。またフォーカス速度が向上しました。グリッド撮影の撮影速度向上につながっているので点検にグリッド撮影を用いる場合は時間短縮が望めます。

また低照度環境下での夜間モード撮影時のFPV映像は昼間とほぼ変わりない映像でインパクトがありました。スペックで面白いのはカメラのレンズの曇り除去機能があるところでしょうか?元々除湿する吸収材が実装されているのですけど、それだけでは追いつかず、レンズの加熱機能が実装されたそうです。

またサーマルカメラ撮影については温度幅の設定等、H20TにはあってAdvanceではできない機能が搭載されているため、人や動物等の捜索に活用できますね。

後は、カメラのサイズ変更によって画角が広がっている点は良いのではないでしょうか?またジンバル動作ではなく機体動作で撮影を行う部分は慣れも必要でしょうね。M300 RTK同様の機能を受け継いでいるパノラマ撮影機能は、現況確認が瞬時に可能になる優れものです。

M300 RTK用のH20Nも同時リリースされたので、M300 RTKユーザーのことも忘れていませんね。名称のNは、Nightの意味で夜間業務を強力にサポートします。

スターライトセンサー搭載ナイトビジョンカメラは20倍ハイブリット光学ズームに対応し、解像度640×512の2つのサーマルカメラはそれぞれ2倍と8倍の光学ズームに対応、そして、レーザー距離計の測定範囲は1200mに及ぶと言いますので最強ですね。こちらはまた次の機会にレビューさせていただきますね。

DJI Matrice 300 RTK用に設計されたZenmuse H20N

久米氏: バッテリー部分も変化ありますよ。少し小型化されているのと、M300 RTKと比べてバッテリーがしっかりロックされます。1個ずつ交換できるので、ホットスワップ可能です。

ちょっと残念なことに、バッテリーの容量が大きいために飛行機輸送ができないのです。バッテリーステーションは、小型軽量化でM300 RTK+H20Tの一式を持ち運びやすくなった点は素晴らしいですね。

――どのような場所で活躍すると思いますか?

二木氏: M300 vとH20のコンビネーションとMatrice 30は、ほぼ同機能スペックを満たしています、携帯性とか展開の速さが売りですから幅広く対応できると思います。最終的には目的によって変わりますね。消防、警察、自治体、鳥獣害調査、点検向けでしょうか。

M300 RTKでの運用が困難な現場で活躍すると思います。例えば、電力会社さんの方で山奥の鉄塔点検に持ち込む場合は、Matrice 30は適合しますね。もっと小型で高性能の機体を望まれているユーザーの方には朗報だとおもます。携帯性と展開の速さは、最大の売りだと思います。起動時間も1分ぐらいで早いですよ。

使用方法も、M300 RTKもMatrice 30も同じです。M300 RTKにステップアップするための入門産業機としても行けるのではないかと思います。

数多あるドローンスクールの講座は、ほぼコンシューマ機のクラスばかりです。今後もっと特化するという産業用途、業務用途の所が増えて来ます。Matrice 30で講習を行うスクールのコースを作るのも1つありのかな。と思いますよね。期待ができる機体です。M300 RTKがコスト的に難しい人にも手が伸ばしやすい産業機といえますね。

M300 RTKのポイントの一つにペイロードを付け替えられる部分がありますが、その部分は不要だというお客様にはMatrice 30は、このモデルも刺さるのかなと思います。すでにM300 RTKを所有している方にも、ぜひMatrice 30を併用していただきたくとお仕事の幅も広がるかと思います。

4月8日にシステムファイブでも体験可能なイベントを開催しますので、是非ご参加ください。

業界最速!Matrice 30が体験できるセミナー開催

「Matrice 30シリーズ」と「Zenmuse H20N」にいち早く触れることができるセミナーが4月8日(金)に2回無料開催される。産業機の活用に関してと新製品の商品概要と機能が披露される。発表されたばかりのMatrice 30シリーズを間近で体感できるチャンスだ。申し込みは下記リンクからどうぞ。

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