DeNAの戦いぶりに見える昨季との違い サヨナラ負けにも三浦監督が感じた手応え

2回、好走塁でホームを陥れたDeNA・関根大気【写真:小林靖】

今季はここまでチーム盗塁数がリーグトップと機動力に磨き

■ヤクルト 3ー2 DeNA(2日・神宮)

【実際の映像】三浦大輔監督も絶賛した! DeNA関根大気の隙を突いた好走塁の映像

DeNAは2日、敵地・神宮球場で行われたヤクルト戦で、延長10回の末に2-3でサヨナラ負けを喫した。連勝は「4」で止まったものの、三浦大輔監督は「投打ともによく粘った」とナインを称賛。ハマの番長は、今季のチームに大きな手応えを感じている。

「関根の好走塁でした」と指揮官が相好を崩したのは、2回の攻撃だ。1死から関根大気外野手が右翼線二塁打で出塁。続く大和内野手の中前打で、いったん三塁にストップしたものの、相手の中堅手・塩見から中継への返球がやや緩慢になったのを見て、一気に先制のホームを奪った。

昨季のようにヒットを積み重ねるだけではない。盗塁王4回を誇るOBの石井琢朗野手総合コーチが14年ぶりにチームに復帰し、今季は春季キャンプから機動力アップと“つなぎの野球”に取り組んだ。三浦監督は「田中(浩康)内野手守備走塁コーチ、小池(正晃)外野守備走塁コーチも、常に次の塁を狙うこと、相手の隙を突くことを意識させてくれているし、選手もみんな意識を持ってくれている」とうなずく。

DeNAの昨季チーム盗塁数は12球団ワーストの「31」。盗塁王に輝いた阪神の中野拓夢内野手が1人で記録した「30」と変わらなかった。ところが、今季のチーム盗塁数「6」はリーグトップ。わずか8試合を消化した段階とはいえ、シーズン約107盗塁ペースで走っている。この日も、桑原将志外野手が相手投手の牽制球に誘い出されて盗塁死する場面はあったが、3回には楠本泰史外野手が、延長10回には代走で出た知野直人内野手が二盗を決めており、走る意識が格段にアップしているのは明らかだ。

オースティン、ソトを故障で欠くも、選手の特長に合わせた野球を展開

ちなみに、この日存在感を発揮した9年目の関根は当初、開幕1軍メンバーから外れる見込みだった。タイラー・オースティン外野手が右肘、ネフタリ・ソト内野手が右手首の張りを訴えて戦列を離れることになり、開幕直前に昇格。最近4試合連続でスタメンに名を連ね、打率.313の好調な打撃とともに、走力とセンスの高さを示している。

打線の中軸を担う外国人2人が開幕から不在なのは、コロナ禍で入国が大幅に遅れた昨季と同じ。しかし、開幕から6連敗、さらに4月上旬から10連敗を喫した昨季とチームの様子は明らかに違う。戦術の引き出しを増やし、代わりに出た選手の特長に合わせた野球で5割の勝率を残している。

オースティンとソトはいまだ、1軍復帰のメドが立っていないが、三浦監督は「まず2軍の試合に出てから」と慌てる素振りはなく「連勝が止まった後が大事。ズルズルと行かないように、もう1度みんなで集中してやっていきます」と話す。長丁場のペナントレースを制するのに必要なのは、選手層の厚さと、主軸に故障者が出ても対応できる戦術の多彩さ。ここまでのDeNAの戦いぶりは、昨季とは明らかに違っている。

【実際の映像】三浦大輔監督も絶賛した! DeNA関根大気の隙を突いた好走塁の映像

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(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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