なぜ“逆球連発”でも6回2失点で済んだ? DeNA三浦監督が認めた28歳の成長

ヤクルト戦に先発したDeNA・大貫晋一【写真:小林靖】

捕手の働きも“光る”…三浦監督「うまくリードしてくれた」

■ヤクルト 3ー2 DeNA(2日・神宮)

DeNAの大貫晋一投手は2日、敵地・神宮球場で行われたヤクルト戦に先発し、6回を6安打2失点。1点ビハインドの状況で降板し、チームも延長10回の末2-3でサヨナラ負けを喫したが、2年連続“勝ち頭”の28歳右腕がさらなる成長のあとを見せた。

立ち上がりは制球に苦しんだ。初回先頭の塩見を四球で歩かせると、続く長岡の初球に二盗を許す。さらに長岡への2球目、3球目のツーシームは、いずれも捕手の構えとは逆の内角へ行き、たまらず伊藤光捕手がタイムをかけてマウンドへ駆け寄ったほどだった。カウント3-2からの、真ん中内角寄りのツーシームも“逆球”。長岡が進塁打を意識していたから二ゴロで済んだが、かなり甘いコースだった。

1死三塁で3番・山田を迎えたが、カウント2-1から、この日比較的制球されていたスプリットでハーフスイングの空振りを取った。続く5球目もスプリットで遊ゴロに仕留め、三塁走者は釘付け。4番・村上に対しても、カウント2-0スプリットで見送りのストライクを取り、4球目の低めのストレートで中飛に打ち取った。ピンチを作りながらも先制を許さなかったことが、ゲームメークの上で大きかった。

三浦大輔監督は「状態が良くない中で、投げながら、踏ん張りながら修正した。(伊藤)光も悪いなりにうまくリードしてくれた」と評した。確かに、要求した所にボールが来ない状態に耐え、使える球種を辛抱強く探した伊藤光のリードも見逃せない。

あくまで前向き「次回登板では入りから自分のボールを投げられるよう」

2回以降も大貫は粘投。逆球は多くても、四球は初回の塩見に与えた以外は許さなかった。1点リードの5回に塩見の右前適時打で追いつかれ、6回には山田に真ん中に入ったスプリットをとらえられ、通算250号の勝ち越しソロを被弾。それでも「イニングを追うごとに修正することができました」と振り返り、「次回登板では入りから自分のボールを投げられるよう、しっかり調整したいと思います」と前向きだった。

長いシーズンを通して、ずっと好調でいられる投手はいない。大貫は昨季、4月中旬から自身5連敗を喫して2軍落ちしたが、約1か月の調整を経て6月中旬からは逆に5連勝とまるで別人に。コーナーにビシビシ決まる時には難攻不落の投手だが、好不調の波も課題のひとつだった。

一昨年に10勝、昨年は6勝で2年連続チーム最多勝。今季初白星はお預けとなったが、「不調の時にも試合を作る」技術が加われば、昨季よりひと皮むけた姿を見せることができるはずだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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