収穫は野菜も学びも YSCC横浜と神奈川大サッカー部、ともに農作業で汗かく理由

レモンの苗を植えるYSCCの吉野代表(左)と神大サッカー部の大森監督=3月21日、横浜市神奈川区

 地元農業の活性化へキックオフ─。横浜市を拠点とするサッカーJ3のYSCCが昨夏始めた農業支援事業に、神奈川大学のサッカー部が加わった。農作業の手助けだけでなく、地域密着や選手の就労支援も視野に入れた試みだ。神大の大森酉三郎監督(52)は「競技だけではなく、地域課題にコミットしながら選手を育てていきたい」と意欲的だ。

 昨年8月に同市神奈川区羽沢町の農地を活用して設立された農場「YSCCファーム」。これまで収穫した野菜の一部をホーム戦でサポーターに提供するなどしている。現在はYSCCの選手が小松菜やホウレンソウなど20種類の野菜を交代制で育てている。

 YSCCの吉野次郎代表(56)は「ファンとのコミュニケーションツールになるし、農業から選手が学べるものもたくさんある」と狙いを説明する。

 設立のきっかけは、YSCCのFW河辺駿太郎選手が競技との両立で始めた農作業のアルバイト。高齢化による後継不足で耕作放棄地が地域課題になっていることを知り、地元農家や企業の協力を得て事業として始まった。

 一方の神大サッカー部は、同市緑区の竹山団地の一部を選手寮に活用。近くの中山商店街の清掃に取り組むなどの地域貢献にも力を注いできた。同部のコーチがファームを手伝ったことが縁で今回の提携に結び付き、今後は部員が農作業アルバイトで働いたり、収穫した野菜を寮の食堂で食べたりする予定だ。

 大森監督は「これからはマルチタスクの時代。競技面だけではなく、地域で働き、寮費や食費を自分たちで賄うなど、選手の将来に向けた学びやサポートができる」と期待する。

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