味濃厚「磯ガキ」収穫 春、海の恵み 長崎・新上五島

収穫した磯ガキのむき身=新上五島町

 長崎県新上五島町の海岸一帯で、地元で「磯ガキ」と呼ばれる天然カキの収穫シーズンを迎えている。実は小粒だが、味は濃厚。干潮時に岩から剥がして実を取り出す一連の作業は「カキ打ち」と呼ばれ、春の風物詩となっている。
 3月下旬、宿ノ浦郷の漁業、浦本一男さん(72)、智子さん(69)夫妻は船で若松湾内の岩場に向かった。2時間半の作業で2人合わせて約2キロ(むき身)を収穫。その後、塩水で丁寧に何度も洗う。重労働で手間暇もかかるため、カキ打ちをする人は減少傾向。むき身を販売している店も少なくなったという。

カキ打ちをする浦本智子さん(手前)と一男さん=新上五島町

 浦本さん夫妻のむき身は島内のショッピングセンターカミティ(浦桑郷)と農林水産物直売所メル・カピィあおかた(青方郷)に出荷している。一度に出荷するのは約80グラム入りの小袋(350円前後)で約30袋。潮の干満を気にしながらの収穫作業なので量に限度があり、同直売所によると、店頭に並べるとすぐに売り切れてしまう。
 智子さんは「一粒の味がとても濃くて、酢ガキや炊き込みご飯、みそ汁にすると絶品。カキ打ちは4月いっぱいで終わる予定」と話した。上五島の海の恵み。もうしばらく味わえそうだ。


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