五島のレトルト食品「ごと」新工場 アジア販路拡大見据え 本格稼働

本格稼働を始めた「長崎五島ごと レトルト研究所」=五島市上大津町

 長崎県五島市の食品製造販売、ごと(木下秀鷹(ほたか)社長)の新工場「長崎五島ごと レトルト研究所」が同市上大津町に完成し、先月から本格稼働を始めた。レトルト食品の需要増を背景に製造能力を強化。国際基準の安全管理を徹底し、アジアを中心とした海外への販路拡大を見据える。
 工場は鉄骨平屋、延べ床面積約1800平方メートル。昨年12月に完成した。主力のカレーやパスタソースなどを製造。食品安全の国際規格「ISO22000」の認証取得を目指している。
 1時間で約1800袋を充塡(じゅうてん)できる機械を導入。製造量は従来の1日約1200袋から約1万袋に拡大した。大手の工場でも使われている調合窯(容量800リットル)を導入し、自動化を図りながらもスタッフの製造経験に基づいて高品質を維持。レトルト加工に不可欠な加圧・加熱殺菌装置も2機に増やした。島外で行っていた品質検査を、同研究所内でもできるよう整備。島内の他業者の利用も受け付ける。

大手工場にも導入されている調合窯

 同社は、巣ごもり需要の増加や、災害用非常食への対応から受注を拡大。全国のメーカーや飲食店からレトルト加工を請け負うOEM事業も伸びている。
 海外輸出は3年前、香港の大手スーパーでの販売を開始しており、今後、自社商品やOEMで香港、台湾での取引を広げる方針。タイやシンガポール、米国などへの進出も見据える。動物由来の原材料を使わない「ビーガン」も国際的に広がっており、対応商品の研究、開発を行っている。
 木下社長は「今年は本格的な海外展開の元年。自信がある味と品質を、実感してもらえるよう取り組む」と意欲を示す。


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