元WRC王者ローブ、DTM出場決定。レッドブル・アルファタウリAFコルセのフェラーリで代役参戦へ

 4月4日、WRC世界ラリー選手権の元9連覇王者であるセバスチャン・ローブが、フェラーリ488 GT3 Evoを走らせるレッドブル・アルファタウリ・AFコルセのドライバーとしてDTMドイツ・ツーリンカー選手権にデビューすることが正式発表された。

 今季のWRC開幕戦モンテカルロで優勝したラリー界のスタードライバーは、4月29日から5月1日にかけてポルトガルで行われる2022年シーズン開幕戦ポルティマオにおいて、ニック・キャシディの代役を務める。

 ローブは最近、2013年のFIA GTシリーズ以来となるGT3カーレース参戦を前に、スパ・フランコルシャンでフェラーリ488 GT3 Evoをテストした。48歳のフランス人はゲスト枠からの出場ではなく代役ドライバーであるため、DTMのチャンピオンシップポイントを獲得することが可能だ。

 シリーズを運営するITRのゲルハルト・ベルガーCEOは、「史上もっとも成功したラリードライバーを開幕戦のポルティマオを迎えることは、ファンにとって本当に楽しみなことだ」と語った。

「彼のキャリアの成果はそれ自体を物語っているが、セバスチャン・ローブにとっても非常に強力なドライバーたちとの厳しい競争になるだろう」

 ラリードライバーとしてよく知られるローブだが、彼は9年前にセバスチャン・ローブ・レーシングの『マクラーレンMP4-12C』でFIA GTシリーズに参戦したほか、2006年にはル・マン24時間レースに挑戦し総合2位表彰台を獲得。さらに、WTCC世界ツーリングカー選手権に出場するなどサーキットレースでの豊富な経験を持つ。

 そんなローブはDTM参戦決定に際し、次のように述べている。

「これまでのキャリアを通じて、僕はつねに専門分野をスイッチすることが好きだった」

「DTMは有名なチャンピオンシップだから参戦するチャンスがあれば、もちろん受けるつもりだった。ドライビングスタイルがまったく異なるため、それは刺激的な挑戦だ」

「さあ、仕事の時間だ。サーキットレースのスペシャリストたちと戦うことになる。彼らと最後にきちんとしたGT3レースを戦ったのは、もうずっと前のことだ」

「僕の目標は、自分のリズムを見つけられるようにすること。自分自身の経験を生かし、チームにクルマのセットアップについて良いフィードバックを与えられるよう努力したいと思う」

「難しいことは分かっているが、このクルマをドライブするのはとても楽しいんだ。本当に速くていいクルマだからレースを楽しみにしている」

 一方、ABBフォーミュラE世界選手権との日程重複のため開幕戦を欠場するキャシディは、今季8戦のうち6戦に出場する予定だ。フォーミュラEとDTMのカレンダーは7月のノリスリンク戦でふたたびバッティングしている。

セバスチャン・ローブとレッドブル・アルファタウリ・AFコルセの37号車フェラーリ488 GT3 Evo

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