2020年10月に発足した十八親和銀行(長崎市)の2代目頭取に山川信彦氏(56)が1日、就任した。経営課題や本県経済への見方などを聞いた。
-8人抜きの頭取人事と聞く。
(旧親和、旧十八両銀行の)合併によって、これまで以上に地域経済の活性化に大きく貢献できるという思いが強くなっている。さらに地域経済に貢献するためには、スピード感のある思い切った決断が必要になる。
-親和出身の吉澤俊介前会長と十八出身の森拓二郎前頭取(現会長)の2トップへの評価。
超えるべき課題は多くあったが、経営基盤を強固にして長崎を支えるという信念はぶれなかった。事務システム統合や店舗統合が短期間で完遂できたのも強いリーダーシップがあってこそだった。
-「2024年度までに合併シナジー100億円達成」の目標進捗(しんちょく)は。
経費削減などのコストシナジー(60億円)は、ほぼ達成できた。収益シナジー(40億円)を含めた合併シナジーを、4月から3カ年の中期経営計画の早い時期に達成できると考えている。二つの銀行が持っていた多くの情報が一つになり、県内全体を俯瞰(ふかん)できるようになったのも合併効果の一つ。
-中期経営計画の特徴は。
銀行業の原点に返り、本業をもっと研ぎ澄ませたい。まずは、お客さまとの信頼関係を守りつつ、お客さまにとってベストな提案を行い、真の成長につながる営業をもっと意識する。行員に求めたいのは、預金を預かっているという感謝の気持ちを忘れず、さまざまな業務知識やスキルを磨き、お客さまの満足度を高めるのを働きがいにしてほしいということ。情報と人材がカギになる。
-店舗統合が一段落し、人材と空き店舗の活用は。
店舗統合で事務部門を中心に効率化、省人化を進めた。これにより捻出した人員を、お客さまの相談などに対応するコンサルティング業務の強化に充てる。空き店舗は地域の活性化に資する使い方をじっくり検討していく。
-本県経済の展望は。
9月の西九州新幹線開業を契機に長崎の魅力を総点検し、一人一人が魅力づくりに取り組むことが重要。観光分野はもっと磨き上げられる。特定分野の産業を拡大するのではなく、県内には強みを持つ分野が複数あるので、一社一社を支援し強くする。産学官が個別に取り組んでいる施策を「束」にすることも大事。人口も就業者も観光客も「オール長崎」で増えていかないと意味がない。求められる地域間連携において、われわれが長崎全体を俯瞰した視点からお手伝いしていきたい。
【略歴】やまかわ・のぶひこ 一橋大卒。1989年、旧親和銀行入行。長崎営業部長などを経て、2020年、十八親和銀行執行役員営業推進部長。西海市出身。56歳。