プロの登竜門「NPBジュニア」になるには? 日本一の監督が語る“合格の最低条件”

中日・根尾昂(左)、阪神・佐藤輝明【写真:荒川祐史】

「NPB12球団ジュニアトーナメント」出場者から実に70人がプロに

年の瀬に毎年行われる「NPB12球団ジュニアトーナメント」には、選抜された小学5、6年生たちが集う。2005年に始まった大会は、実に70人をNPBに輩出。“プロの登竜門”という一面もあり、目指す子どもたちも多い。では、どうすれば12球団のジュニアチームに入ることができるのか? 昨年末の大会で優勝した中日ドラゴンズジュニアの湊川誠隆監督は、プロに繋がる“適性”を見ているという。

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阪神の佐藤輝明内野手や西武の森友哉捕手、中日の根尾昂内野手……。プロ野球ファンなら誰もが知る選手たちは、NPBジュニアから羽ばたいた。それぞれの球団では、大会前にセレクションを実施。精鋭揃いのチームは、選手たちにとっては大きな刺激になる。昨年末の大会に出場したある選手は「今まで自分が一番上手いと思っていたけど、上には上がいた」と語っていた。

本家と同じユニホームを着ることができる貴重さもあり、多くの小学生が受験。中日ジュニアでも、昨年はおよそ200人がエントリーし、複数回のセレクションをへて最終的に16人がメンバー入りを果たした。7年間携わる湊川監督は「年々、大会のレベルは上がっていますね。出場選手の体格も、みんな(身長)170センチ近い」を目を見張る。

16人の選び方については「僕の中では(実力順で)上の16人がいるわけじゃないです。普段やっているポジション以外もできるかを見ています」。選手は16人しかいないため、常に総力戦。同程度の実力なら、複数ポジションを守れる選手が選ばれることが多いという。普段の所属チームでやっていなくても「やらせたらできそう」という“順応性”も見る。

合格への“最低条件”は「キャッチボールを見ただけでわかる」

さらに、合格を勝ち取るための“最低条件”もある。「キャッチボールを見ただけでわかります」。小学生世代で陥りがちなのが、単なる肩慣らしと考えて投げているケース。「キャッチボールという練習の意識で、1球ずつ丁寧にやっているか。その日々の積み重ねが、最終的に大きく変わってくる」と言葉に力を込める。

優れた技術やセンスで小学生離れしたプレーができる選手を選んでいるわけではなく、むしろその逆。「派手なプレーをしても、アウトにできなければ意味がないですから」。発達途中の時期だからこそ、余計に基本が備わっているかが重要になる。「あとは、自分なりに考えて練習するのが大事だと思います」。丁寧なプレーと貪欲な意識は、結局は成長の原動力になる。

プロになった選手たちはその素養を持ち合わせ、中学や高校での飛躍につなげていった。憧れのNPBジュニアを目指すことは、小学生たちにとっては日頃の取り組み方を見つめ直すいい機会になるのかもしれない。(小西亮 / Ryo Konishi)

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