北帰行できず オオハクチョウ羽負傷 市民から心配の声 高田城址公園北堀

 桜のつぼみが色づき始めた上越市高田城址公園の北堀(高田北城高前)に、ハクチョウが1羽だけとどまっている。

 上越で一緒に冬を過ごした仲間たちはすでに旅立った。一見、元気そうに見えるが、その姿は寂しそうだ。

 岸辺にたたずみ、羽を休める姿を撮影。日本野鳥の会会員の勝俣将明さん(上越市立雄志中校長)に写真を見てもらったところ、オオハクチョウの成鳥で、右側の羽が折れて飛べない状態にあるという。

 折れているのは「初列風切羽(しょれつかざきりばね」。羽ばたいたときに浮力や推進力を与える部分で、飛行機のプロペラのような役割を果たす。その羽が折れているため、この個体はもう飛ぶことはできないだろうという。

右側の羽(矢印部分)が折れており、飛べないと見られる

 オオハクチョウはコハクチョウに比べ体が大きく、飛び立つにも長い助走距離を必要とする。勝俣さんは「北堀に来る途中で電線や木の枝に羽を引っ掛け、傷めたのではないか」と推測する。また、餌を食べているうちは元気だが、お堀のハスが伸び密生すると身動きができなくなり、衰弱していくだろうと話す。ハクチョウはどうなってしまうのか。

 けがを負い保護された野生鳥獣は、県愛鳥センター紫雲寺さえずりの里(新発田市)に搬送され治療を受ける。県上越地域振興局健康福祉環境部(上越保健所)に問い合わせたところ、保護するかなどを含め対応を検討中と回答した。

 市民からも心配する声が寄せられているという。一日も早い保護が望まれる。

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