まん延防止解除1カ月 長崎県内、にぎわい回復の兆し 保育園は警戒「変わらず対策」

多くの客でにぎわう「長崎街道かもめ市場」の飲食店=1日、長崎市尾上町

 長崎県内に適用されていたまん延防止等重点措置解除から1カ月。飲食店や観光地にはにぎわいが戻りつつある。一方、新規感染者は再び増加傾向で、保育園関係者からは心配の声も聞かれる。

   飲 食 

 3月18日に開業した長崎市尾上町の商業施設「長崎街道かもめ市場」。新年度が始まった1日、居酒屋などが軒を連ねる「横丁」は午後5時台からにぎわっていた。
 市内で居酒屋2店舗を経営する永石一成さん(39)は「浜町は人通りが少ないが、長崎駅前は県外からの来客が多い印象。客足は7割ほど戻ってきた」と回復の兆しを感じている。一方で県などが少人数の飲食を推奨しており、「感染対策をしている店なら団体客も可能とか、具体的に前進していかないと苦しい状況は続く」とも話す。
 解除後も飲食店に足が向かない人も。佐世保市の自営業の40代女性は以前のようには飲みに行っていない。第6波で身近な人の感染が多くなったのも理由だが、「なじみの店に行っても暗いトーンなので…」と楽しめなくなった。

  観光・宿泊 

 開業30年を迎えた佐世保市のハウステンボス(HTB)。2月の入場者数はコロナ禍前の3割程度だったが、3月は約8割に回復。担当者は「感染防止対策を万全に、楽しんでほしい」としている。長崎市伊王島1丁目のリゾート施設「アイランドナガサキ」は、県内旅行割引キャンペーン「ふるさとで“心呼吸”の旅」の効果もあり、3月は順調に客足が伸びた。桑宮美幸マーケティング支配人は「第7波の状況も気になるが、これまで積み重ねたコロナ対策をしっかり実践していきたい」と話した。
 長崎市の男性会社員(37)は割引キャンペーンを活用した。友人に会いに3月末に島原市を訪れ、1泊5千円の宿に2500円で泊まれ、「ずっと続けてほしい」。慎重に楽しむ人もいる。静岡県三島市の会社役員、渡辺健暁さん(78)は今月4日、夫婦で五島市を訪問。全国の感染状況を調べながら各地の城を巡っており「密集を避けるなど対策をしながら続けたい」。

   子ども 

 長崎市内にある保育園の60代女性園長は重点措置解除前後で「感染対策は全く変わっていない」と強調する。同園では第5波までは感染者がゼロだったが、第6波に入って家庭内感染が確認されるケースもあり、より警戒感を高めた。
 重点措置は解除されたが、市内の感染者は十分に減っておらず緊張感を解くことはなかった。さらに感染者が再び増えつつあり、不安は拭えない。「子どもたちが少しでも、のびのびと過ごせるよう、保育士など大人ができる限りの対策を続けなければ」と気を引き締める。
 3人の子どもがいる長崎市の女性公務員(50)は重点措置適用中、自分も子どもも外出を自粛。解除後は外食したり、友人を自宅に招いたりするようになった。ただ、学校生活について「給食は黙食で、遠足もない。授業参観もないため先生や親同士の交流機会がない。子どものためにも徐々に再開できれば」と感じている。


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