「上には上がいた」地元のスター小学生が知る現実 “NPBジュニア”が与える刺激

2021年末のNPBジュニアトーナメントで優勝した中日ドラゴンズジュニア【写真:川村虎大】

「NPB12球団ジュニアトーナメント」が促す成長

各地域の少年野球界隈には、1人や2人はすでに飛び抜けた選手がいるもの。年末に毎年開催される「NPB12球団ジュニアトーナメント」には、そんな実力者たちが集う。小学生世代ではトップレベルの舞台は、相手チームだけでなくチームメートもレギュラーを争うライバルに。熾烈な環境が、有望な選手の成長をさらに促すという。

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昨年末の大会では、東海地方の選手たちで構成する「中日ドラゴンズジュニア」が4年ぶり4度目の優勝を飾った。大会最多のチーム通算18本塁打と猛打が爆発。神宮球場のスタンド中段に推定飛距離120メートルの特大弾を放った小久保颯弥くんをはじめ、今春に中学1年生になった選手たちはタレント揃いだった。

個々の能力が目立ったが、野球はあくまで団体スポーツ。中日ジュニアの指導に7年間携わる元中日内野手の湊川誠隆監督は、チーム作りの根幹について「『人のプレーを喜べる選手になりなさい』というのはずっと一貫しています」と語る。当たり前のことのようにも聞こえるが、強調するのには理由がある。

「みんな、普段所属している少年野球チームだったらスーパースター。地域でも有名な子たちばかり。自分のプレーで試合が完結しちゃうんですよね。投げて、打って。そうすると、考えが自分の成績のことだけで終わっちゃうこともある」

元中日右腕・朝倉氏の次男「負けてらんねーなと思いました」

地元で一目置かれる存在たちが、セレクションを経て結成する中日ジュニア。メンバー16人の実力が拮抗する中で、普段とは違うポジションを守ることも。「チームのために何かできる選手になりなさい。できないんだったらやめなさい。それは親御さんの前でもしっかり伝えています」と湊川監督。チームプレーの大切さは一生ついて回るからこそ、熱を込めて説く。

レベルの高い選手とチームメートになることで、新たな気づきや刺激を得る。元中日投手・朝倉健太氏の次男・陸くんは「負けてらんねーなと思いました」とさらなるやる気につながった様子。大会で4本塁打を放った山本寿希也くんも「上には上がいました。めっちゃいました」と目を輝かせていた。

井の中の蛙にならず、“大海”を知ることでさらに向上心が促される。子どもたちにとっては、本当のトップクラスを知るまたとない機会。過去のトーナメント出場者から70人のNPB戦士が生まれているのも頷ける。(小西亮 / Ryo Konishi)

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