2022年シーズンが明日開幕! 「知っておくべき50のポイント」

99日間に及ぶロックアウトを経て、急ピッチでチーム編成が進められ、短縮して行われたスプリング・トレーニングも全日程を終了。いよいよ日本時間4月8日に2022年のレギュラーシーズンが開幕する。本来のスケジュールから開幕が1週間遅れたとはいえ、162試合制シーズンが維持されたのは不幸中の幸いと言えるだろう。メジャーリーグ公式サイトでは、アンソニー・カストロビンス記者がそんな2022年シーズンについて「知っておくべき50のポイント」をピックアップ。ここではそれを1つずつ紹介していこう。

フォーマット変更

【1】ポストシーズン出場枠が10球団から12球団に拡大され、各リーグから地区優勝3球団とワイルドカード3球団が出場できるようになった。

【2】ポストシーズン出場枠拡大のおかげで消化試合が減少し、より多くの球団がトレード・デッドラインで戦力アップを目指すと思われる。

【3】一発勝負のワイルドカード・ゲームは廃止され、ポストシーズンの最初のラウンドは2勝先取の最大3試合制に変更された。地区優勝3位とワイルドカード3位、ワイルドカード1位とワイルドカード2位の対戦となる(地区優勝1位と地区優勝2位は地区シリーズからの出場)。

【4】レギュラーシーズンの「163試合目」は廃止される。複数の球団が勝率で並んだ場合、直接対決の勝敗など各種成績にもとづいてポストシーズン出場枠を確定させる。

【5】開幕が1週間遅れた影響でレギュラーシーズンのスケジュールには予めダブルヘッダーが組まれている。また、レギュラーシーズン終了日は日本時間10月6日に変更された。

【6】トレード・デッドラインは本来7月31日(現地時間)だが、今年は日曜日のため、8月2日午後6時(=日本時間8月3日午前7時)に変更されている。

移籍市場

【7】今オフのFA市場には過去最大となる総額30億ドル以上もの資金が投入された。また、複数の大型トレードも成立した。

【8】昨季王者のブレーブスはフレディ・フリーマンとの再契約を断念し、マット・オルソンを獲得。マーセル・オズナが故障から復帰し、ロナルド・アクーニャJr.もシーズン序盤に復帰できる予定となっている。

【9】フリーマンはFAでドジャースへ移籍。入れ替わるようにしてケンリー・ジャンセンがドジャースを退団してブレーブスに加わった。

【10】ブレーブスの通算最多セーブ記録保持者であるクレイグ・キンブレルはAJ・ポロックとのトレードでホワイトソックスからドジャースに加わった。

【11】ドジャースはコリー・シーガーとマックス・シャーザーを失ったものの、クレイトン・カーショウ、クリス・テイラーと再契約。さらにアンドリュー・ヒーニー、タイラー・アンダーソン、ダニエル・ハドソンらを獲得した。

【12】FA市場の主役となったのはレンジャーズとメッツ。合計8億ドル以上もの資金をFA市場に注ぎ込んだ。

【13】レンジャーズはコリー・シーガー、マーカス・セミエン、ジョン・グレイを獲得。セミエンとシーガーの新二遊間コンビだけで総額5億ドルの資金を費やした。

【14】メッツはマックス・シャーザーに加え、スターリング・マルテ、マーク・キャナ、エドゥアルド・エスコバーを獲得。さらにトレードでクリス・バシットも手に入れた。

【15】ほかにも大型補強を敢行した球団があり、13カ月前にノーラン・アレナドを放出したばかりのロッキーズはクリス・ブライアントと大型契約を結んだ。

【16】タイガースはハビアー・バイエズ、エドゥアルド・ロドリゲス、マイケル・ピネダを獲得。さらにトレードでオースティン・メドウズも手に入れた。

【17】フィリーズはブライス・ハーパーを擁する打線にニック・カステヤノスとカイル・シュワーバーの両外野手を加えた。

【18】最も衝撃的だったのは、カルロス・コレアがツインズと3年契約を結んだこと。オプトアウト権が付属しており、コレアは今季終了後に再びFAとなることもできる。

【19】ツインズはレンジャーズから獲得したばかりのアイザイア・カイナーファレファをジョシュ・ドナルドソンとのセットでヤンキースへ放出。ゲーリー・サンチェスとジオ・ウルシェラを手に入れた。

【20】カイナーファレファはヤンキースで正遊撃手を務める。ヤンキースは大物遊撃手の獲得には動かず、アンソニー・リゾと再契約を結び、ルーク・ボイトをパドレスへ放出した。

【21】大物遊撃手の1人であるトレバー・ストーリーはレッドソックスと契約。二塁にコンバートされ、ザンダー・ボガーツと二遊間コンビを形成する。

【22】2つの球団が大規模なチーム解体を敢行。アスレチックスはオルソンをブレーブス、バシットをメッツへ放出したほか、マット・チャップマンをブルージェイズ、ショーン・マネイアをパドレスへトレードした。

【23】レッズはジェシー・ウィンカーとエウヘニオ・スアレスをマリナーズ、ソニー・グレイをツインズ、タッカー・バーンハートをタイガースへ放出した。

【24】ウィンカーとスアレスを手に入れたマリナーズは、FA補強でロビー・レイも獲得。昨季90勝を挙げたチームをさらに戦力アップさせ、2001年以来21年ぶりのポストシーズン進出を目指す。

【25】ブルージェイズはレイとセミエンを失った穴をケビン・ゴーズマンとチャップマンで埋めた。ア・リーグ東部地区は今季も大激戦が予想される。

【26】アルバート・プホルスは古巣カージナルスへ復帰。ヤディアー・モリーナ、アダム・ウェインライトの両ベテランと現役最後の1年を過ごす。

【27】クリーブランド球団に大きな補強はなかったが、球団名がガーディアンズに変更されるという大きな動きがあった。

【28】これ以外にも書き切れないほど様々な動きがあった。

ルール変更など

【29】ユニバーサルDHが採用され、原則として投手が打席に立つことはなくなった。

【30】指名打者のルールが改正され、先発投手兼DHとしてスタメン出場した選手は、どちらか一方を交代しても試合に残れるようになった。よって、大谷翔平(エンゼルス)は降板後もDHとして出場できる。

【31】無死二塁から延長戦をスタートするタイブレーク制は今季も継続される。

【32】7イニング制のダブルヘッダーは廃止された。今季はすべてのダブルヘッダーが9イニング制で行われる。

【33】スプリング・トレーニングが短縮された影響を考慮し、日本時間5月2日までアクティブ・ロースターが26人から28人に拡大される。9月は再び28人となる。26人の期間中は投手を最大13人までしか登録できない。

【34】サイン盗み防止と試合時間短縮のために「ピッチコム」というウェアラブル端末によるサイン交換が可能になった。

【35】早ければ2023年シーズンからロボット審判、ピッチクロック、守備シフト制限、ベースサイズ拡大といった新ルールが導入される。

故障者

【36】メッツの最強二本柱完成はしばらくお預けとなった。シャーザーのハムストリングは重傷ではなかったが、ジェイコブ・デグロムは肩のストレス反応で数週間のシャットダウンが決まっており、戦列復帰は6月と予想されている。

【37】フェルナンド・タティスJr.(パドレス)は左手首を骨折して手術を受け、3カ月の戦線離脱が決まった。

【38】クリス・セール(レッドソックス)は肋骨を疲労骨折し、少なくとも2カ月以上の戦線離脱が決まっている。

【39】ホワイトソックスは膝の手術を受けたランス・リンの出遅れが決定。また、トミー・ジョン手術を受けたギャレット・クローシェは今季全休となる。

【40】カージナルスはジャック・フラハティ、アレックス・レイエスの両右腕の出遅れが決まっている。

【41】レッズは肩の故障でルイス・カスティーヨが出遅れ。4月末に復帰できる見込みだが、トレードの噂が再燃することになりそうだ。

【42】昨季107勝したジャイアンツは、正捕手バスター・ポージーが引退し、ブライアントも移籍。さらにエバン・ロンゴリアが指の手術で6週間ほど離脱することになった。

【43】昨季長期離脱したマイク・トラウトが復帰。今季は開幕から大谷と強力デュオを形成する。

トップ・プロスペクト

【44】有望株トップ5のうち、1位のボビー・ウィットJr.(ロイヤルズ)、3位のフリオ・ロドリゲス(マリナーズ)、4位のスペンサー・トーケルソン(タイガース)の開幕ロースター入りが決定。2位のアドリー・ラッチマン(オリオールズ)と5位のライリー・グリーン(タイガース)が故障しなければトップ5全員という可能性もあった。

【45】ア・リーグは前出の3人に加え、リード・デトマーズ(エンゼルス)、ジョシュ・ロウ(レイズ)、ジョー・ライアン(ツインズ)らも開幕ロースター入り。ライアンは新人ながら開幕投手を務める。

【46】ナ・リーグはタティスJr.の故障によりC・J・エイブラムス(パドレス)がチャンスを掴む可能性がある。同僚のマッケンジー・ゴアも開幕ロースター入りの可能性が残っている。このほか、ハンター・グリーン(レッズ)、ジョーイ・バート(ジャイアンツ)、ブライソン・ストット(フィリーズ)らの開幕ロースター入りが決定した。

【47】ほかにもグレイソン・ロドリゲス(オリオールズ)、アレック・トーマス(ダイヤモンドバックス)、オニール・クルーズ(パイレーツ)、ノーラン・ゴーマン(カージナルス)、エドワード・カブレラ(マーリンズ)らにシーズン途中でメジャー昇格の可能性があり、注目したい存在だ。

その他

【48】メジャー最低保証年俸は昨季の57万200ドルから70万ドルへ大幅アップした。

【49】プロスペクトを開幕から1年を通してメジャーのロースターに登録した球団は、その選手が年俸調停権を得る前に新人王投票3位以内、サイ・ヤング賞投票5位以内、MVP投票5位以内に入った場合、最大3つのドラフト指名権を得ることができる。

【50】2023年のドラフトから全体6位までの指名権が抽選制となり、最低勝率の球団が必ずしも全体1位の指名権を得られるわけではなくなる。上位指名権の抽選にはポストシーズン進出を逃した18球団が参加する。

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