【日本薬剤師会】オンライン服薬指導の研修内容公開/「通信は薬剤師側から発信」/具体的な運用手法示す

【2022.04.07配信】日本薬剤師会は4月7日、薬剤師向けにオンライン服薬指導に関するページをサイトに追加した。「オンライン服薬指導に関する研修スライド」を公開。意図しない第三者の参加を避けるためにも通信時は薬剤師側から発信とし、患者側からの発信としないようにすることなど、具体的な運用手法を示している。これらは通知のほか、適用すべき「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠している。また、「薬局開設者はオンライン服薬指導に特有の知知識等を習得させるための研修材料等を充実させること」とされており、今後、研修の拡充が求められるところだ。

公開された研修スライドは、前半「~制度と実務~」、後半「~オンライン服薬指導とセキュリティ~」に分かれている。前半では制度概要を説明。後半ではセキュリティ及びプライバシー保護の観点からの対策を列記。「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の内容を参考にしている。

オンライン服薬指導を実施する通信環境に係る主たる関連法令としては、「個人情報の保護に関する法律」や「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」、「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」などがある。

具体的に薬剤師が行うべき対策としては、「薬剤師がいる空間に服薬指導に関わっていない者がいるかを示す」ことや、「患者がいる空間に第三者がいないか確認」することが求められる。ただし、患者がいる空間に家族等やオンライン服薬指導支援者がいることを薬剤師及び患者が同意している場合は除かれる。
プライバシーが保たれるように、患者側、薬剤師側ともに録音、録画、撮影を同意なしに行うことがないことを確認することも必要。

利用するシステムが「オンライン服薬指導システム」か、「汎用サービス」かによって講じる対策が異なるとし、汎用サービスを用いる場合は例えば、第三者がオンライン服薬指導に参加することを防ぐため「薬剤師側から患者側につなげることを徹底すること」が必要になるとしている。

特に汎用サービスを利用する場合に講じるべき対策は付加される。次のようなものがある。
▶端末立ち上げ時、パスワード認証や生体認証などを用いて操作者の認証を行うこと。
▶汎用サービスがアドレスリストなど端末内の他のデータと連結しない設定とすること。

汎用サービスに内在するリスクを理解し、必要な対策を行う責任が専ら薬剤師に発生するということを理解する必要があるとする。

オンライン服薬指導等をめぐっては、今年3月31日付けで改正省令が公布されている(同日施行)。同改正では、「薬剤師の責任・判断により初回からオンライン服薬指導を実施可能とすること」「オンライン診療・訪問診療において交付された処方箋以外の処方箋においてもオンライン服薬指導の実施を可能とすること」「服薬指導計画の見直し」等が行われている。

日本薬剤師会では、「オンライン服薬指導の実施にあたっては、その特性を理解した上で有効に活用できるよう適切な体制整備等を行いつつ、患者の個別の状況に応じて薬剤師が薬学的知見に基づき適切にご対応頂きますようお願い申し上げます」としている。

オンライン服薬指導の実施にあたっては、薬学的知識のみならず、情報通信機器の使用や情報セキュリティ等に関する知識が必要となるため、「薬局開設者は、オンライン服薬指導を実施する薬剤師に対し、オンライン服薬指導に特有の知識等を習得させるための研修材料等を充実させること」とされていることも付記している。

日本薬剤師会では、厚生労働省「令和3年度薬剤師の資質向上に向けた研修に係る調査・検討事業(ICTを活用した業務等に係る薬剤師の資質向上)」を受け、薬剤師の資質向上のためのICT研修プログラム並びにe-ラーニング資材等を作成。このうち、同事業で作成したオンライン服薬指導に係るスライドを今回、サイトで公開したもの。

一連のICT研修プログラムとe-ラーニング資材等については、今年4月中をメドに別途構築中の「薬剤師研修プラットフォーム」で公開予定という。オンライン服薬指導についても、今回公開の掲載スライドに基づき講師が解説する形式を予定しているとしている。

■公開された研修スライド
https://www.nichiyaku.or.jp/pharmacy-info/onlinemedicationinstruction/

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