「道路にアヒルがいる」大磯で絶滅危惧種コアホウドリ保護 神奈川県自然環境保全センター、回復したら放鳥へ

県自然環境保全センターで保護されているコアホウドリ=8日、厚木市七沢の県自然環境保全センター

 環境省レッドリストで「絶滅危惧ⅠB類」となっているコアホウドリ1羽が大磯町の路上で見つかり、8日に神奈川県自然環境保全センター(厚木市七沢)で保護された。かなりやせて左肩を痛めており、回復したら洋上で放鳥するとしている。

 コアホウドリは、7日夕方に大磯町国府本郷の馬場公園そばの路上にいるのを地域住民が見つけ、同町内で動物病院を営む獣医師中山和也さんに「道路にアヒルがいる」と連絡した。

 中山さんは「アヒルなら近くの家から逃げ出したのだろう」と思って確認したところコアホウドリだったため、同センターに持ち込んだ。中山さんは2013年にもコアホウドリを保護した経験があるという。

 同センターの鵜飼祐子獣医師によると、保護された個体の性別は不明。体重は2キロでかなりやせているという。けがなどは見られないが左肩を少し痛めている様子で「コアホウドリは約千キロ離れた小笠原諸島にすみ、繁殖以外は洋上で暮らす。数日前まで風が強かったので、体力が落ちて着陸するときに左肩付近をぶつけたのかも」と推測する。

 同センターはアジなどの餌を与えて回復を図り、元気になったら洋上で放鳥する方針。同センターでは1993年以降、今回を除いて計6件、コアホウドリを保護したといい、見学などはできないとしている。

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