“日本一の小学生”たちはどんな特訓をしてる? ライバルに差をつける独自練習法

中日ドラゴンズジュニア・山本寿希也くん【写真:川村虎大】

「NPB12球団ジュニアトーナメント」で優勝した中日ジュニアの選手たち

ライバルに差をつるため、チームの全体練習だけでなく“自主練習”に励んでいる小学生たちは多いはず。ただ闇雲にやっても成果にはつながらず、知恵を絞りながらの工夫が大事になる。「日本一の小学生」たちも、それぞれ独自の練習法を導入。昨年末の「NPB12球団ジュニアトーナメント」で優勝した中日ドラゴンズジュニアの選手に、普段の取り組みを聞いた。

【動画】小6が神宮球場で衝撃のスタンドイン! 中日Jr.小久保くんの満塁弾

4試合で大会最多18本塁打も放ち、4年ぶりとなる史上最多4度目の優勝を飾った中日ジュニア。東海地方から集まった“逸材6年生”たちは、確かに恵まれた体格を誇る。すでに身長170センチを超えている子も。この春から中学生になった選手たちの潜在能力の高さは言うまでもないが、上手くなるための努力も欠かしていないという。

大会を通じて4本塁打を放った山本寿希也くんは、基本のティー打撃に工夫を凝らす。「スクワットやケンケンをしてからバットを振るメニューもあります」。家の庭で、お父さんと二人三脚。バットに力を伝えるため、軸足の付け根にしっかり体重を乗せてから打つ意識をつける。

練習だけでなく“イメトレ”も重要だとか。「いつも木曜日くらいに土日の試合のことを考えて、いいイメージを作っています」。様々な状況を想定し、ふさわしい打撃の形を頭の中で膨らませておく。「上手くいかないことの方が多いですが、悪いイメージを持っていると結果がついてこないと思うので」と言い切る。

中日ドラゴンズジュニア・見崎賢汰くん【写真:川村虎大】

初戦で大会記録の3発、見崎くんは“長尺バット”や“羽根ティー”導入

初戦で大会記録の1試合3本塁打をマークした見崎賢汰くんは、家がスポーツ用品店という“利点”を生かす。「いろいろ工夫したバットをお父さんが持ってきてくれるので、みんなとは違った練習ができているんじゃないかと思います」。例えば、長さ1メートルある“長尺バット”。上半身だけでは振ることが難しいため、下半身を意識する。

羽子板で使うような羽根を使ったティー打撃も毎日実施。「力が入っていると、羽根をしっかり打てないんです。力抜きながらミートに集中してライナーで打ち返すように」との意識を徹底。さらにYouTubeからも技術の情報を仕入れ、自身で試行錯誤。打撃のしなやかさが身についたといい、中日ジュニアの湊川誠隆監督も「バッティングが柔らかい。今まで見た中でも指折りの選手」と絶賛した。

大会通算5本塁打で、準決勝では神宮球場の左翼スタンド中段に“超特大弾”を放って話題となった小久保颯弥くんも、塾がある水曜日以外の平日はチームの練習場で仲間と自主練習を欠かさない。「ホームランをいっぱい打ちたかった」という思いから、ティー打撃用ネットの上部を狙ってフライを打つイメージでスイングを繰り返してきたという。小学5年生ごろから急激に身長が伸びたのもあり、打球の飛距離と投球のスピードは飛躍的に上がった。

中日ジュニアの選手たちに共通しているのは、自分に足りないものを考え、必要な練習を取り入れている姿勢。「試合の時は、自分が一番上手いと思ってやる。練習になると、自分が一番下手だと思って追い込む」。父から教わったという山本くんの言葉が象徴するように、好きな野球を突き詰める向上心も欠かせない。(小西亮 / Ryo Konishi)

「上には上がいた」地元のスター小学生が知る現実 “NPBジュニア”が与える刺激

プロの登竜門「NPBジュニア」になるには? 日本一の監督が語る“合格の最低条件”

172cm、90kgの小6スラッガー 巨人Jr.の4番を育てた「自主性伸ばす」指導法

© 株式会社Creative2