2012年ロンドン五輪の体操男子団体総合で銀メダルを獲得した田中和仁さん(36)が昨年11月、横浜市戸塚区に「田中体操クラブ」を開いた。2~15歳が対象の同クラブのモットーは「褒めて伸ばす」。自身の経験を基にした指導で成長を後押しする田中さんは「体操に限らずどんなことにもチャレンジし、活躍するきっかけにしてもらいたい」と子どもたちへの思いを語る。
「自分で足上げられたじゃん。やったあ」「やればできるよ」-。
田中さんらコーチの前向きな声が同クラブに響く。言葉をもらった子どもたちは皆、生き生きとしていた。この日の午前は2、3歳児クラスのレッスン。6人の子どもたちが、田中さんらと共に50分間、鉄棒やトランポリン、柔軟体操に汗を流した。
田中さんと、妹の理恵さん、弟の佑典さんはそろってロンドン五輪に出場し、「田中3きょうだい」と呼ばれた。和歌山の体操一家に生まれ、育った。「褒めて伸ばす」指導の源流は父の章二さんにあるという。
「厳しい言葉はもちろんあるが、褒めてくれることがうれしく、それで頑張れた」。子どもの頃は意識していなかったが、大人になり、その大切さに気付き、指導方針の軸に据えた。