「同級生の被災」が原点 県消防学校入校式、29歳の入校生が宣誓

入校式で宣誓する厚木市消防本部の堺澤匡皓さん=13日、同市下津古久の県消防学校

 厚木市下津古久の県消防学校で13日、入校式が行われ、横浜市を除く県内市町で消防士として採用された204人が入校した。6カ月間の厳しい訓練を受け、消防士として必要な知識や技術を身に付ける。

 中村純也校長は式辞で「近年、全国で激甚災害が発生し、消防への期待、関心が高まっている。卒業式にはたくましく成長し、県民の生命、財産を守る消防職員として信頼される存在になることを期待する」と呼びかけた。

 入校生を代表して厚木市消防本部の堺澤匡皓さん(29)が「公務員としての本分を自覚し、職務遂行と豊かな人格形成を図ることを誓います」と宣誓した。

 堺澤さんは愛知県出身で器械体操に励むため岩手県内の高校に進学。2011年3月に卒業して愛知県に帰った後、東日本大震災が発生し、同級生やその家族が津波で流された。亡くなった人はいなかったが、多くがけがを負ったといい、「ニュースで被害を見て、自分の無力さを感じた。救助で活躍する消防士に憧れ、自分も消防を目指した」と堺澤さん。「頼りがいがあって、市民に勇気を与えられる消防士になりたい」と決意を語った。

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