神奈川県内有数のナシの産地、伊勢原市で人工授粉作業がピークを迎えている。市内の畑では、生産農家が機械を使い、満開となった白いナシの花に花粉を付ける作業に追われていた。
授粉作業は確実に実を成長させるための工程の一つ。JA湘南果樹部会委員長の和田新一さん(60)の畑では、先端にダチョウの羽根が付いた機械を使い、甘みがあってシャリシャリした肉質が特徴の「幸水」のめしべ一つ一つに丁寧に花粉を吹きかけていた。
ナシは虫が花粉を運ぶことで受粉する虫媒花。かつては市内でもハチやチョウなど虫に任せて受粉させていたが、実の大きさや生産量にばらつきが生じるため、30年ほど前からは人の手で作業が行われるようになったという。