「投資は早く始めるべき」は本当なのか?時間が優位に働く「複利の力」とは

お金の面で、豊かになることを実現する手段の一つが投資だと思います。すでに始めている方もいれば、敷居が高いと感じられている方、また忙しくて手をつけられていないという方もいるかもしれません。

ただ、これからは投資が必要な時代で、早く始めた方がよいと思います。それには、明確な理由があります。

今回は、投資の必要性やメリット、そして投資と時間の関係についてお伝えします。


年金だけでは老後は赤字になる?

平均寿命が伸び、老後にかかるお金も増えると考えられるなか、年金だけで暮らせるか不安を抱える方は少なくないでしょう。老後には具体的にどのくらいの資金が必要なのか、総務省統計局「家計調査結果」によれば世帯主が65歳以上の世帯(2人以上)の場合、1ヵ月の平均消費支出は255,550円ほどとなっています。

一方、年金の支給額はどうなっているのでしょうか?

モデルケースとして夫が会社員、妻が専業主婦だったケースですと、年金の受給額はおよそ月20万円くらいになります。1ヵ月の平均消費支出が約25.5万円でしたので、年金だけでは5万円ほど月に赤字が出てしまうため、その赤字分は現在ある資産でまかなう必要があります。

日本の平均寿命から考えると、年金の受給開始となる65歳から先、2〜30年の人生があるとすると、単純計算で不足額の総額は1,300万円から2,000万円になります。これが、令和元年6月3日に金融庁が出した「高齢社会における資産形成・管理」という報告書に端を発した「老後2,000万円問題」です。

さらに今後、公的年金の受給開始年齢は上がり、受給額は減額される可能性があり、老後は普通に生活するだけで預金が目減りしてしまう状況も考えられます。年金だけで暮らせるか不安、という方が増えているも納得です。

貯蓄のほかの

仮に老後資金が2,000万円必要とします。

老後資金を確保するために、まず働きながら生活費を賄い、家のローンや家賃を払い、子どもの教育費や親の介護費などを捻出しながらその金額を貯蓄できるのかを考える必要があります。また趣味にいそしむなど、豊かな老後を過ごしたいと考えると、さらに資金が必要です。友人関係の付き合いや、子どもや孫への援助にもお金はかかります。車や家、家電の老朽化に伴う出費や、予期せぬ医療介護費などにも備えておきたいところですよね。

長生きするのにも生活費が必要となります。それを貯金だけで賄うことが難しいのであれば、単にお金を預けておくだけでなく、資産を運用することで自分のお金を守っていく事が必要となるわけです。投資などで資産を運用し、老後は自己責任と考えて向き合っていかなければなりません。

株とはそもそも何なのか?

投資の選択肢のひとつとして、今回は株式投資についてお伝えします。

株式とは、企業の資金調達手段の一つです。株式会社の資本の構成単位で、企業が直接市場から資金を調達するために発行した有価証券のことを株式と言います。そのため、株式を保有することは、その企業にお金を出して間接的に経営に参加することを意味するのです。会社が成長すれば株式をほしい人も増えていき、株価も上がります。

日本企業の株はもちろん、近年はAppleやAmazon、コカ・コーラなどの米国株、中国やインドといった新興国株など、海外企業にも個人が投資できる環境になっています。

株主になるメリットは、主に3つあります。

(1)株価が上がれば売って差額を利益にできる
(2)株主配当が受けられる
(3)株主優待が受けられる(日本企業のみ)

株価が上がれば売って差額を利益とすることも可能ですし、保有を続けて企業の利益の分配である配当金を受け取ることもできます。また、株主へ割引券や優待券、食料品などを株主優待として還元する企業もあります。

さらに株式市場は世界の情勢や政治など、あらゆるものに影響を受けるため、株式投資を始めると、色々なニュースが気になって調べる意欲がわいたり、業績を把握するために決算や会計の読み方を調べるなど、知識が増えるというメリットもあります。

デメリットは会社の業績悪化などで株価が下がったり、優待や配当がなくなったり、倒産する可能性があることです。株式はあくまで投資なので、投資した資金(元本)が保証されるものではありません。出来る範囲の金額で投資することを心がけてください。

投資には時間的な優位性も大切

ロナルド・ジェームズ・リードという方をご存知でしょうか?

貧しい家庭で育ち、自身も労働者階級で低所得者だったリード氏ですが、2014年に亡くなった時、800万ドル以上の遺産を残していました。彼は37歳から投資をスタートし、節約に励みながら多数の企業に長年分散投資をして、複利の力が働いたことで莫大な資産を築く大富豪となったのです。

複利というのは、配当などの利益を元本に加えて運用することです。例えば、元本100万円を利回り2%で30年間運用した場合、元本のまま運用し続けると、毎年2万円の利息となるので、利息の総額は60万円になります。

一方、同様の条件で複利の力を使って運用した場合、1年目の利息は2万円ですが、それを翌年の運用に回すため、2年目の利息は400円増えます。それを繰り返し行なっていくことで、実質的な金利が上がり、30年後の利息の総額は約81万円と20万円以上の差が出ることになります。

運用が長期間になるほど、複利の力が働きます。そのため出来るだけ早く皆様にも資産運用を始めていただきたいのです。


株を買ってみたいと思った方は、証券会社を選んで口座を開くことから行動してみてください。銀行の口座開設同様、身分証明証と印鑑さえあれば簡単に開設することができます。口座が開いていないと売買できないですし、口座開設するだけであればノーリスクと言えるので、まずは行動することをおすすめします。

もはや豊かな老後の生活は働いて貯金するだけでは実現できないといえるでしょう。金銭的なゆとりは精神的なゆとりにもつながります。ゆとりのある老後のためにも、投資を始めてみてはいかがでしょうか。

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