奨学金代理返還の企業を支援 長崎県内初 3分の1補助、地元就職促す 佐世保市

佐世保市の支援制度のイメージ

 長崎県佐世保市は本年度、社員の奨学金を代理で返還する企業の支援を始める。企業の“応援”を通じて、若者の移住、定着を促す県内初の取り組み。既に市が取り組んでいる個人への奨学金返還支援と両輪でサポートしていく。
 代理返還は、奨学金を貸与する日本学生支援機構が昨年度導入した新制度で、勤務先の企業が社員に代わって直接機構に返還することが可能になった。肩代わりした企業は法人税が減額される。
 ただ、市によると3月時点で代理返還制度を活用する市内企業はない。企業が制度を活用しやすい環境をつくろうと市は企業に返還額の3分の1を支援金として補助する。若者にとって負担が大きい奨学金を企業が返還することを呼び水に、市は若い人の地元就職とUIJターンを促す。企業は人材を確保しやすくなり、定着も期待できるという。
 市の支援の背景には、若者の流出が続く現状がある。総務省の2021年の人口移動報告を見ると市内では就職する年齢に当たる20~24歳で409人の転出超過となり、他の年代に比べて多い。25~29歳でも149人の転出超過となっている。市の窓口となっている西九州させぼ移住サポートプラザは「支援を使って都市部との所得差を埋めて移住に結び付けていきたい」としている。
 支援要件は、市内に事業所があり、奨学金返還者が市内に住み、正規雇用者であることなど。問い合わせは西九州させぼ移住サポートプラザ(電0956.25.9251)。


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